One’s Way[ワンズウェイ]のブログでは、里山暮らしのあれこれを綴ります。ヘンリー・ デイヴィッド・ソロー の影響を受け、エシカルな暮らしを追求中。薪ストーブを暮らしの核とし、菜園、ガーデニング、サイクリング、ランニングなどを楽しんでします。

■ Slow,Small,Simpleな家づくり(その5)人探し編(2)2017/01/01

棟梁の宮田邦彦さん2000/07/28
2002年9月に開催された、富山建築士会主催のオープンハウスに協力した際にまとめた文章です。

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Our House In Green Valley(蒼い谷の家)
Slow(ゆっくり)Small(小さく)Simple(簡素に)

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== 家の建立、施主の自立 ==

人探し編(1)で記した考えのもと、伝統を継承している飛騨(古川)の匠や、古民家を再生しておられる八尾の棟梁などの情報を収集していた折、天野一男設計士さんより「大工さん選びは、スーパーマーケット選びと同じだよ」というアドバイスをいただきました。

この言葉の意味するところは、こういったことでした。「あなた達が、毎日の食材を買う際、どんなスーパーで買いますか?まず、家から近いスーパーでしょう。でも、一番近いスーパーとは限りません。質の良い、あなた達の好みに合った食材を揃えているスーパーを選ぶでしょう。」

つまり、家を建てるということは、建築中の一時のことではなく、そこに住み、将来的に家を維持管理していくことをも含んでいます。大工さんとの人間関係も、一時の関係ではなく、今後も末永くお付き合いできる関係が理想です。家の補修メンテナンスもあるでしょう。何より相談相手が近いところに住んでおられることは、とてもありがたいことです。距離的に近い人間関係はとても重要だと天野さんはおっしゃいました。

しかし、ただ近いから良いというわけではありません。施主の要望を真摯に聴いてくださり、それを具現化できる技術の持ち主を探しなさい、ということでした。

天野さんほどの方だったら、たくさんの腕のいい大工さんを知っておられると思います。中には、言葉で説明しなくても暗黙の了解で仕事ができる大工さんもおられることでしょう。にもかかわらず、私たちに、自ら探し、自ら選択し、自ら大工さんを決定する機会を与えられたのは、家を建てることそれ自体よりも、自分たちの家を建てることを通じて、大人になる、つまり社会的自立することを促されたのではないでしょうか。 

結局、私たちが我が家の新築の相談を持ちかけた大工さんは、初対面の宮田建築さんでした。

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