One’s Way[ワンズウェイ]のブログでは、里山暮らしのあれこれを綴ります。ヘンリー・ デイヴィッド・ソロー の影響を受け、エシカルな暮らしを追求中。薪ストーブを暮らしの核とし、菜園、ガーデニング、サイクリング、ランニングなどを楽しんでします。

■ 塩の道は自転車の道(その1:里山の塩)2017/01/28

「里山の塩」
2014年7月に『月刊ニューサイクリング』誌に投稿した原稿です。その後、廃刊となり掲載されないままとなっていた内容をこのブログに掲載します。
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★ 里山の塩

自転車に関係なく唐突ですが、僕は自宅で塩を作っている。名称は「里山の塩」。里山で岩塩が採れるの?そうではありません。里山で焚き火をし、海水を煮詰めるという方法で作っている。詳しく説明します。

富山県は、さほど大きくない面積の中に、海抜ゼロメートルの海岸から3千メートルを超える立山連峰まで、非常にコンパクトに収まっている。また世界有数の豪雪地帯であり、一年を通じて太古の雪が解け、伏流水となって富山湾に流れ込んでいる。そんな富山湾の良質な海水、特に水深300メートルのミネラル分豊富な深層水を使って、そこから製塩するのだ。

ホタルイカ漁で有名な富山県滑川市にある海洋深層水分水施設「アクアポケット」(富山県滑川市坪川新31)では、そんな深層水を汲み上げており、脱塩ミネラル水の販売と同時に、高濃縮の塩水(塩分濃度13~15パーセント)を小売販売している。僕はまず最初に、その高濃縮塩水を購入してくるわけだ。

僕の自宅は、富山県射水市の山あいにある。薪ストーブのある暮らしがしたくて、13年前に移り住んで家を構えた。最初は薪用の原木を森林組合などから購入して、薪を作っていたのだが、地元に馴染んでいくうちに、ご近所から倒木や剪定枝などを頂くことができるようになった。

今から10年前の2004年10月、富山県は台風23号の被害に見舞われ、近隣でも多くの樹木が倒された。「薪にして片付けてくれたら助かる」と、声をかけてくださる方が多くあり、ありがたく頂戴したわけだが、この薪を利用して返礼できないものかと考えた。そこで焚き火による塩作りを思い付いた。

「山の樹木が海の塩になって帰って来る」ということで、僕はこれを「里山の塩」と命名した。それ以来、僕は薪の材料になる木を頂いた人には、返礼として「里山の塩」を差し上げることにしている。

ところで塩を英語でSalt(ソルト)というが、そこからSalary(サラリー、給料)という単語ができたらしいことを知った。金銭は人間と人間との間に機能する。塩も金銭と同様というか、歴史的にみれば金銭に先行して、人と人とをつないでいたのではないかと思った。

【写真説明】「里山の塩」の完成。2014年3月、梅の開花が間近。

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