One’s Way[ワンズウェイ]のブログでは、里山暮らしのあれこれを綴ります。ヘンリー・ デイヴィッド・ソロー の影響を受け、エシカルな暮らしを追求中。薪ストーブを暮らしの核とし、菜園、ガーデニング、サイクリング、ランニングなどを楽しんでします。

■ One’s Way Part1(その3)2017/10/22

今は廃刊となっている『月刊ニューサイクリング』誌の2013年11月号に掲載された作品です。
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■ KAKI 薪ストーブ


薪小屋と自転車
※ 薪小屋と自転車。共に僕の大切なライフワークである。


サイクリングをするようになってからも自ずと富山県は無論、信州や飛騨の山岳地帯をフィールドとした。ロードバイクに乗るようになってからも、山道でヒルクライムすることが多かった。

僕がOne’s Wayという御言葉に導かれていった先に、KAKIがあった。KAKIとは立山山麓の粟巣野(あわすの)にある手作り家具メーカーである。そこには大きな薪ストーブがあった。

1986年、晩秋。KAKIが主催する自転車のヒルクライムレースに出場した。粟巣野に初雪が降った日だった。レース後、KAKIのショールームで初めて本物の薪ストーブに出会った。そこには本物の火が揺らめいていた。正直言って当時は薪ストーブを見ても「ふーん」で終わった。

その後、頻繁にバイク・トレーニングとしてKAKIを訪れるようになった。作業場にあった蒸気機関車のような大型薪ストーブの横でコーヒーを入れてもらった。僕は知らず知らずのうちに薪ストーブに導かれていったわけだ。薪ストーブに道が繋がった。

僕が生まれた家は平野部の街中にあった。結婚してから10年後、新居を構えた時、僕たちが住処として選んだ場所が、山の麓、懐深き里山の中であったことは、自然の成り行きかもしれない。

わが家One’s Wayを建てるための条件、それは「薪ストーブが絵になる場所」というものだった。薪ストーブは焚こうと思えば街中でも可能である。でも、絵になる場所となると考えてしまう。

「絵になる」とはしっくりきている、自然体である、無理が感じられないという意味だ。それは、チェーンソーの爆音、切り出された原木の搬入、薪山を積んでおくスペース、薪ストーブから出る煙等々、隣人との距離感と地域性などに無理が感じられず、お互い平和的に過すことができるといった条件のことでもある。

そして薪ストーブからは必ず灰が生まれる。僕たちは花咲か爺さんの如く、灰を撒いて菜園を営みたいと思った。少しずつ土地を広げていった。花や樹木も植えるようになっていった。僕たちはいつしかガーデナーになっていた。ロードバイクで峠道を走っていたサイクリストが、いつの間にか跪いて草をむしっていた。僕は知った。ガーデナーはサイクリストよりも大地に近いことを。ともあれ、そんな所まで道が繋がるとは。何と偶発的・運命的なOne’s Way!



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