One’s Way[ワンズウェイ]のブログでは、里山暮らしのあれこれを綴ります。ヘンリー・ デイヴィッド・ソロー の影響を受け、エシカルな暮らしを追求中。薪ストーブを暮らしの核とし、菜園、ガーデニング、サイクリング、ランニングなどを楽しんでします。

■ アートの森に住む庶民 by T2018/02/04

アートの森
東京へ行く機会のあった時に時々立ち寄る画廊があります。京橋にある翠波画廊(すいはがろう)です。実は私たち夫婦が始めて入った銀座界隈の画廊が翠波画廊でした。

当初、銀座の画廊といえば敷居が高くて二の足を踏みそうでしたが、かなり背伸びをして入りました。想像していた雰囲気とは裏腹に、スタッフの方はとても丁寧に応対して下さり、座り心地の良いソファーでお茶をいただき、色々な絵画を拝見させていただきました。

そのあと、他の銀座にある画廊を巡りましたが結構敷居が高かったりして、やはり翠波画廊に足が向くようになりました。

先日、翠波画廊より配信されてきたメールマガジンに、ニューヨークのヴォーゲル夫妻に関する記事が書かれていました。

映画『アートの森の小さな巨人』で知られる、アートの市民コレクター、ヴォーゲル夫妻です。映画のDVDは我が家のアーカイブにあり、時々観ています。夫のハーバードは数年前に亡くなりました。現在、妻のドロシーは全てのアートコレクションをワシントンのナショナルギャラリーに寄贈し、住まいのアパートメントには、たった一枚の絵画と共に一人で暮らしているそうです。その絵画とは若かりし頃ハーバードが描いたドロシーの肖像画です。

投機の道具として絵画を集めるのではなく、アートを愛するが故にアート作品をコレクションする。しかも資産家ではなく庶民が行う一大コレクション。映画の中に出てくるメッセージにこういう言葉がありました。

「お金のことを口にすると、アートは沈黙する。」

ヴォーゲル夫妻にコレクションされたアート作品は永久に売買されることのないナショナルギャラリーに嫁いで行きました。さぞかし幸せだったことでしょう。

ところで、私たちは今度の東京マラソン2018に行くついでに翠波画廊に立ち寄る予定です。今回はジャスト・ルッキングではなく、少々本気で訪廊します。決して投機のためではなく一生のコレクションを探しに。


追伸 : 松本清張原作の『ゼロの焦点』が映画化された際、最後のシーンで、ある画廊が映りました。よく見るとその画廊は、何と!翠波画廊でした。

コメント

トラックバック