One’s Way[ワンズウェイ]のブログでは、里山暮らしのあれこれを綴ります。ヘンリー・ デイヴィッド・ソロー の影響を受け、エシカルな暮らしを追求中。薪ストーブを暮らしの核とし、菜園、ガーデニング、サイクリング、ランニングなどを楽しんでします。

■ 風を呼ぶ by M2018/08/01

風を呼ぶ
我が家の外窓は、両開きか片開きです。引き戸はありません。理由は色々とあったのですが、昨日、一昨日とその効果を実感しました。

それは風を呼べるのです。
一昨日の午後から風向きが変わりました。南風から北風に変わったのです。その風は心地よく、室内の取り入れるためにドアストッパーを使い、窓の開き角度を調節。室内を涼しい北風が吹き抜けたのです。

風の変化を感じ取り、心地よい風を室内の呼び込む。ヨット乗りになった気分です。今日も朝から気温が上がり猛暑が予想さています。この中で、心地よさを作り出すのは、自然との共存への試みの一つです。

これ以上、地球温暖化が進まないようにとの願いを込めて…。

■ 鳥を呼ぶ by T2018/08/02

雑木林
葉月八月です。我が家の屋敷林では、明け方まず鳴き始めるのは野鳥たち、それから日の出とともに蝉の鳴き声がとって代わります。野鳥にしろ蝉にしろ、樹木があってこそ集まってきてくれます。何故ならそこに食料があるからです。

ニシキギ、ヤブデマリ、ウメモドキ、エノキ、ヤマボウシ、ソヨゴ、ヤマザクラ、エゴノキ、ナナカマド、クワノキ・・野鳥たちはその実を食べにやって来ます。野鳥の食料は実だけではありません。コナラ、クヌギ、クリ、トチ、カツラ、モミジ、コブシ、カキ、カシ、ヤブニッケイ、アカメガシワなどにいる虫をも野鳥たちは食べてくれます。

おかげで我が家では、約20年間、夏の薬剤散布を一度もしたことはありません。今のところ柿の葉のアメシロ被害はありません。ツバキのチャドクガ被害も経験ありません。

一度3年前、トチノキとクリノキにクリケムシ(クスサン)の大量発生を経験しました。その時僕は高枝鋏で1匹1匹潰しました。でも自分が潰したクリケムシの数よりも野鳥が食べてくれた数の方が多かったかもしれません。自然界のホメオスタシス(恒常性)を信じたおかげで被害は2年ほどで終息しました。

薬剤に関しては、アブラムシやカイガラムシの卵を抑制するため、冬場、石灰硫黄合剤をコナラやクリなどに塗布したことが数回あります。現在はそれもしていません。

よって薬剤付けの木の実や虫たちは我が家に存在しませんから、野鳥たちにとって健康安全な食料を供給しています。

我が家の屋敷林内に自生の大きなハゼノキがあります。近くには同じウルシ科のヌルデ、タラノキ、ウルシの木も自生しています。幸い僕はかぶれに強い方なので自分で剪定伐採をしていますが、これらウルシ科の樹木の実を求めて野鳥たちが多く集まることを最近知りました。それまでは伐採することが多かったウルシ科ですが、これからは適度に維持管理していこうと思っています。

里山雑木林での暮らしは本当に楽しいです。

■ 「里山再生・保全活動」新聞掲載! by M2018/08/03

 「里山再生・保全活動」新聞掲載
8月2日の読売新聞地方版に夫が所属する「金山里山の会」の記事が掲載されました。

7月中旬に読売新聞の取材を受けたことは聞いていましたが、かなりの紙面をさいて会の活動が紹介されていました。人々が里山に入らなくなって数十年。現在70歳の会長さんの世代が、里山に密着した暮らしを知る最後の世代になるようです。

夫が声をかけていただいたのは、会の結成から2年ほど経過した2013年のことでした。会長さん自らが薪ストーブを導入している家を訪ね歩いていらっしゃいました。

私たちは金山の新参者。まさか地元の山で薪用の樹木を切らせていただけるとは思ってもいませんでした。

会長さんに声をかけていただいたおかげで、薪はほぼ自給できるようになりました。「会員は薪を買ってはいけない」と会長さんに言われたとのこと。

私たちにとっては、薪を調達させていただける貴重な機会です。それが里山の保全と受け取ってもらえるのですから、ありがたいことです。

体力的にきつい作業もあるようですが、そのおかげで夫は若い頃に比べてたくましくなったように見えます。この猛暑の中でも食欲は失せず、早朝から嬉々として活動しています。こちらに移り住む前には想像できないことです。

「里山再生・保全」と言いながら、夫の方が再生・保全されているような気がします。

■ 雑草と雑木林 by T2018/08/04

パヴェの隙間に生きるスミレ
写真家、亀田龍吉氏は著書『雑草の呼び名辞典』のあとがきの中で、以下のように述べています。

私は「雑草」という言葉は本当は好きではありません。その言葉には、人間の役に立たない物は十把一絡げにしてしまえというような人間の勝手とおごり、そして自然への無関心も少し見え隠れするからです。

ガツンと効く言葉です。

妻は草むしりをする際、レンゲソウ、スミレ、セリ、ミツバ、ドクダミ、シロツメクサ、ヘビイチゴ、ウマノアシガタ、ツユクサ、ススキ、シダ、ヨメナなど、雑草と片付けられがちの野草花たちを意図的に場所を設定して残したりしています。僕は時々草刈機で除草してしまい妻に注意されることもあります。

雑草と呼ばれる野の草花は、高いお金を出して購入移植しなくても、適した場所を自ら選択し自然に育ってくれています。そして逞しく、 日本の風景に馴染み、手間いらずで、しかも高級な園芸種に負けないくらい光合成や蒸散作用を行なって環境保全に貢献しています。雑草の根があるおかげで土も流れ出しません。除草剤のおかげで雑草も生えないようなテカテカ・ピカピカのとてもビューティフルな死んだ土の上で、どうして人間が健康で文化的に暮らすことができるでしょう。

ところで、我が家の庭はコナラやクヌギ、エノキやイヌシデ、ウワミズザクラやアカメガシワ、ヤブニッケイやヒサカキ、タラノキやヌルデ・・つまり雑木主体の庭です。コブシやヤマボウシ、カツラやネムノキ、ヤマザクラやシラカシといった人気のある雑木もありますが、樹木数としては一般的な庭内で見られることのない雑木、つまり聞いたことのないような雑木がとても多いです。それはもともと自生していた雑木が多いからです。僕もここに住み始めて名前を覚えた雑木たちです。そんな非庭木的な十把一絡げの雑木を生かしながら庭作りを楽しんできました。いつしか雑木林という言葉が僕はとても好きになっていました。

ならば雑草も然り。これからは雑草を生かした心地良く強健なハイブリッド空間を目指したいと思います。

人の言葉や先入観を捨て、冷静に合理的に雑草を見つめ直した時、貴方は雑草を善者と考えますか?それとも悪者と考えますか?

もし雑草を善者と考えるならば、なぜ自分は善者を恐れる必要があるでしょうか。なぜ、善者に戦いを挑む必要があるのでしょうか。

善を嫌う者は、即ち悪者に他なりません。

写真はパヴェの隙間に生きるスミレです。

■ カツラの自己防衛 by T2018/08/05

カツラの落葉

7月上旬の豪雨後、約3週間雨が降っていません。里山の保水力もだんだん乏しくなってきたようです。山の清水が流れる我が家の遣り水も、上流が干上がってきました。水の好きなカツラの木も辛そうです。ハート形の葉っぱを自ら落とし始めました。

カツラの落葉は自己防衛のためです。葉っぱを落とし水分の蒸散量を減らすことによって母体を守っているようです。秋の紅葉はその分期待できませんが、それは人間の都合。カツラにとっては生命の方が重要です。

植物は自ら環境を移動させることができません。置かれた場所で全てを受け入れて生きています。そして最後の最後まで諦めません。植物の姿勢には学ぶべきことがたくさんあります。

■ 冷房コストを試算 by M2018/08/06

夏の陽射しとムクゲ
猛暑を通り越して、酷暑と表現されている暑さがここ富山でも続いています。我が家は標高約40mの里山に位置しています。移住後18回目の夏になりますが、エアコンはありません。街中とは標高差30mにもかかわらず車の温度計によると5度ほどの気温差があります。

2008年に庭に雑木を植え、10年で随分成長しました。以前は地面が焼けたため熱い風が室内に入ってきました。今は樹木の間を通る涼風が屋内を通り抜けます。お陰で造園以前に比べて快適に夏を過ごせます。

それ以前はエアコンの設置も考え、家電量販店で説明も受けました。その夏は設置せずに年を越したところ、樹木が成長し室内に吹き込む風の性質が変わりました。

今朝ふと、エアコンを設置した場合のコストと造園に費やしたコストとを簡単に比較してみました。

ほぼワンルームの我が家、1階の半分は吹き抜けになっており、エアコンを設置する場合はかなりハイスッペクなものを1台、もしくは中程度のスペックのものを2台入れることになるでしょう。

本体と工事費用を大雑把に見積もって50万円。シーズン中の電気代が10万円(ダイキンのホームページより概算)。平均使用年数が13.4年とのことですが、丁寧に扱うことを前提に15年使用したとします。あと50年は生きるつもりですので、残りの生涯に使用するエアコンは4台。

本体および工事費用  50万円×4台=200万円
電気代        10万円×50年=500万円

計700万円となりました。造園にかけた費用は700万円には到底及びません。毎日水やりをしても水道代は多く見積もっても2万円。50年で100万円です。

さらに昨年からは、成長したコナラやクヌギを伐採し、薪ストーブの燃料にできるようになりました。

庭を維持するために時間と体力を費やしていますが、そのお陰で無駄な外出による消費は減り、健康を手に入れ、気持ちも穏やかになりました。地球温暖化の緩和に微力ですが貢献もできているような気にもなっています。お金では買えない満足感を得られています。

造園時にはこんなに経費をかける意味はどれだけあるのだろうと少し懐疑的になったこともありました。しかし、今朝試算をしてみて造園にかけた経費はこの10年で十分に回収できているような気がします。

当たり前を見直してみると、新たな発見がまだまだありそうです。

写真は夏の陽射しに輝くムクゲです。花はとても繊細な姿で、開花後2、3日しか持ちません。しかし、夏の間、次々と花を咲かせます。渇水が続くこの夏も美しい花を咲かせています。

合併して射水市になる前、私たちが住む小杉町の花がムクゲでした。花言葉は「信念」「新しい美」。合併直前数年間の小杉町にぴったりの花言葉だったと思います。

■ COOL CHOICEをご存知ですか? by M2018/08/07

COOL CHOICE

私は天気を知るのに気象庁のHPと日本気象協会のHPをしばしば閲覧します。先日、日本気象協会のHPを閲覧していた時に目に留まったのがCOOL CHOICEのバナーでした。

マスメディアは「酷暑、酷暑…、生命に危険のある状態です。冷房をつけて!」と声高に叫んでいるので、COOL CHOICEのサイトは肩身の狭い思いをしているのではないかと思います。実際、COOL CHOICEのバナーはページの下の方にさりげなく設置されていました。

地球温暖化によって暑さだけでなく、豪雨、渇水など様々な異常気象が世界各地で多発しています。私たち一人一人の行動が要因にあると私は思っています。異常気象による2017年の経済的損失は世界全体で34兆円とのこと。日本の2017年のGDPは533兆円ですから、その3割以上の損失があったことになります。日本だけでみても、このまま地球温暖化が進むと将来的には17兆円の損失という言説があります。

1億人でCOOL CHOICEを行えば、70億人でCOOL CHOICEを行えば、地球温暖化が緩和することでしょう。

最近効果を実感しているのが、かき氷とキュウリです。食べた直後に体の中からひんやりとします。COOL CHOICEの中にも紹介されていました。

一度、COOL CHOICEのサイトをご覧くださいませ。何かヒントを得られるのではないかと思います。
http://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/

■ オオムラサキ が指標 by T2018/08/08

エノキ
僕の所属している金山里山の会には、里山雑木林再生の指標というものがあります。それは、かつてコナラと共生していたサマツタケ(マツタケの一種)が、昔のような里山の雑木林にたくさん育つようになることです。林内に適度な日光、適度な風、適度な移動空間、多様な生物、そんな里山環境が整った時、サマツタケが戻ってきてくれることでしょう。しかし悲しいことながら、サマツタケの盗採者が戻りつつあるのも現実です。

さて、我が家の雑木屋敷林にも、僕は指標というものを設定してみました。それは、「国蝶オオムラサキが舞う雑木屋敷林」。

1957年に国蝶に選定されたオオムラサキは、落葉高木のエノキの葉に卵を産み付け、幼虫はエノキの葉を食べて成長し、蝶になるとクヌギやコナラ、ヤナギの樹液を吸って生き、再びエノキに卵を産み付け、エノキの元で死んでいく。オオムラサキの一生はわずか一年です。オオムラサキは環境庁が自然環境を測定する指標昆虫でもあります。良質な雑木林と冬の寒さ、適度な雪による保湿がオオムラサキ生育に必要です。

我が家が建つ敷地を購入した20年以上前、そこにはエノキの若木が植林された杉林の隅で自生していました。杉を伐採し日当たりの良くなったエノキはスクスクと成長し、今では夏の強い日差しを和らげてくれる緑陰樹に育ってくれました。一方、敷地内に植えられたクヌギ、コナラも成長し、清水の傍にはシダレヤナギも現在育っています。見れども見えず、ひょっとしたらオオムラサキが飛んでくれているかもしれません。

妻がブログで書いたように、我が家はエアコンを設置していません。家の窓や開き戸を全開にすることの多いこの時季、大小様々な蝶類が家の中に舞い込んできます。我が家の虫取り網は捕獲のための虫取り網ではなく、屋外に逃がすための虫取り網です。これからはオオムラサキが舞い込んでくるかもしれないので、注意して観察したいと思います。

でも泥棒にも注意!夜や外出時は開き戸に施錠を!

写真は、大きく成長した緑陰樹エノキです。榎は夏の木と書きます。


※ 補足 by M

この記事を読む前に私は珍しい蝶を見ました。前庭のタブノキの頭頂部を飛んでいました。模様はアゲハチョウのようでしたが、色が違っていました。濃い水色に黒い模様。大きさもアゲハよりは小さめ。

この地にはイトトンボなど珍しい昆虫を時折見かけます。このブルーの蝶もその一つ、さすが里山!と一人ほくそ笑んでいました。

夫のこの記事を読んで、もしやオオムラサキ ?!

画像検索の結果、ブルーオオムラサキ(モルフォオオムラサキ) と判明しました。オオムラサキ の中でも希少種らしく、蝶マニアの間では高額で取引されているとの記事もありました。

何気ない日常の中で、希少な蝶を見ることができるとは、想像していませんでしたし、期待もしていませんでした。そのようなことが現実だなんて、嬉しいことです。

■ 里山に秋の気配 by M2018/08/09

キッチンカウンターからの眺め
立秋が過ぎ、里山に秋の気配が…。

 まず、ツクツクボウシが鳴き始めたこと。週末の夕刻、庭からツクツクボウシの鳴き声が聞こえてきました。アブラゼミ、ヒグラシ、ツクツクボウシ、蝉の三重奏を楽しめる季節となりました。

 厄介なアブも出現!例年はお盆を過ぎた頃からアブを見るのですが、今年は早かったです。7月下旬には既にアブを発見!先日夫はアブに刺されたと言っていました。

 夜にはクツワムシの鳴き声が聞かれました。日暮れが早くなり、秋の虫の活躍の場が増えていきます。

 暑い夏ですが、秋は確実にやってきています。涼しくなるのは嬉しい反面、心なしか淋しい気持ちになるのはいつものこと。

 写真は、夏の朝の陽射しに輝く庭です。キッチンカウンターからの眺め。この眺めもこの夏はこれが最後かもしれません。

■ 秋の七草の他 by T2018/08/10

蔓草のヒルガオ
写真は雑草の写真です、と言ってしまえばそれまでですが、雑草という植物は存在しないわけで、再度写真の説明をします。

写真は、カナムグラ(鉄葎)という蔓草の中に咲く、やはり蔓草のヒルガオです。我が家の敷地の横に咲いていました。

秋の七草の一つにアサガオ(キキョウという説アリ)がありますが、こちらはヒルガオ。でも、山上憶良が秋の七草を詠んだ心境は、僕が想像するに、道端に何気に咲く雑草たちに対する愛情だったのではないでしょうか。

写真には映っていませんが、近くにはオバナ(ススキ)やハギの花も逞しい容姿に成長していました。