One’s Way[ワンズウェイ]のブログでは、里山暮らしのあれこれを綴ります。ヘンリー・ デイヴィッド・ソロー の影響を受け、エシカルな暮らしを追求中。薪ストーブを暮らしの核とし、菜園、ガーデニング、サイクリング、ランニングなどを楽しんでします。

■ 正しいことと易しいこと by T2018/12/09

オーロラファイア

冒頭から難しい話をします。
熱の伝わり方には伝導と輻射があります。(もう一つ対流もあります)

ファンヒーターやエアコンは、暖められた空気と人体が接触することによって熱が伝わる「伝導」を利用した暖房器具です。伝導熱は人体の外側いわゆる皮膚から順に人体の内側に向かいます。たとえば顔が火照っているのに体の芯が寒いと感じるのは伝導熱が芯まで届いていないということです。また部屋の換気をするとせっかく暖められた空気が逃げてしまい伝導熱も人体に届きません。ファンヒーターの取扱説明書に、時々換気してくださいと書かれているのは根本的な矛盾を含んでいると思われます。換気されないと室内の酸素が減少し、ファンヒーターの場合排気ガスや水蒸気が増加します。でも換気すると暖房効率が落ちます。これが根本的な矛盾です。

一方、薪ストーブは太陽と同様に遠赤外線という名の電磁波を「輻射」します。人体や家具、柱や壁などの物質に遠赤外線が届くと、その物質を構成してる分子を運動させ輻射熱を発生します。遠赤外線は空気の有無にかかわらず直接物質に届き輻射熱を発生させるので人体の芯も暖かくなります。薪ストーブは煙突排気しているので常に室内に新鮮な外気が入ってきており自然換気されています。しかし空気を媒介とした伝導暖房ではなく、直接輻射熱を発生させる暖房のため問題ありません。これは電子レンジと同じメカニズムです。電子レンジのマイクロ波といった電磁波は直接食材を熱します。でも電子レンジ内の空気は熱くありません。マイクロ波は波長が極めて短いため人体に害を及ぼしますが、波長の長い遠赤外線は人体に無害です。

(話は逸れますが、安易な温め方法である電子レンジは、マイクロ波の危険性を拭い去れないこともあり、大衆の動向に関係無く我が家には存在していません。)

このように、ファンヒーターやエアコンの暖房方法(伝導)と薪ストーブの暖房方法(輻射)の間には、熱の伝わり方に決定的な違いがあるわけです。

さて、どちらが快適な暖かさであるかを判断するには直接体験してみれば一目瞭然だと思われますが、ちなみにファンヒーター、エアコン、薪ストーブの3つの暖房器具のうち、現在日本において最も普及率の低いものは薪ストーブです。つまり薪ストーブの輻射暖房を経験したことの無い人々が大多数存在していると推察されます。

ここまでの難解な話にお付き合いをいただき、ありがとうございます。
ところで、ある歴史学者が言っていました。

「人間は正しい物事を選択する習性よりも、分かりやすい物事(簡便安易な物事)を選択する習性が強い。」

そういった易しさ感覚と周囲の動向に流されやすい人間の習性というものをメタ認知した上で、それでも敢えて論理的な正しさを主体的に追求していく意識と態度、行動はとても重要だと僕は思います。

以上のかた苦しいテキストを読み遂げることのできた貴方こそ、それが出来得る方だと思われます。


追伸 : この話題は薪ストーブを普及させようというメッセージではありません。自分にとって最良の暖房方法は自分で決めてください。周囲に流されず自分の頭で考えて主体的に選択してください。易しいことでは無いかもしれません。また時には失敗もあるかもしれません。しかし少なくともその姿勢は正しいことだと思います。

コメント

トラックバック