One’s Way[ワンズウェイ]のブログでは、里山暮らしのあれこれを綴ります。ヘンリー・ デイヴィッド・ソロー の影響を受け、エシカルな暮らしを追求中。薪ストーブを暮らしの核とし、菜園、ガーデニング、サイクリング、ランニングなどを楽しんでします。

■ ただそれだけのこと by T2018/12/13

手すりのないデッキ
我が家のデッキには手すりやフェンスが無い。最初は木製の手すりがあった。でも朽ちてきてグラグラしてきた時、かえって手すりがあると危険だなと思った。無防備に安心しきって手すりに寄り掛かろうものなら・・。それで手すりを取り払った。地面から2メートル程の高さだから、身構えていれば落ちても致命傷にはならないだろう。実際僕は飛び降りて確認もした。100パーセント安全とは言えないけれど。

我が家を建ててくれた亡き棟梁が呟いた言葉が今でも記憶にある。
「そりゃあ、落っこちる子供もいるだろう。そんな子はそんな子。それだけのこと。」

稲作地帯の富山。用水やため池に落ちて死亡する事故が時々ニュースになる。そして新たにフェンスが延びる。危険を叫ぶ看板が増える。フェンスや看板が増えれば増えるほど、それにつれて事故が起きた際の責任論の声も大きくなる。

ふと、ジャックロンドンの『To Build a Fire』(邦題 火を起こす)を思い出した。小さなミスからアラスカにて凍死する男の話だ。死は常に我々の傍にいる。ただそれだけのこと。ただ男は自然を甘受し死を甘受するだけのこと。

文明のぬるま湯にどっぷり浸かりきって安全神話に寄りかかっていると、いつ何時朽ちかけた手すりもろとも落下するやもしれぬ。責任を放棄して落ちるくらいだったら手すりを放棄して生き長らえる方を僕は選択したい。