One’s Way[ワンズウェイ]のブログでは、里山暮らしのあれこれを綴ります。ヘンリー・ デイヴィッド・ソロー の影響を受け、エシカルな暮らしを追求中。薪ストーブを暮らしの核とし、菜園、ガーデニング、サイクリング、ランニングなどを楽しんでします。

■ 社会的手抜き by T2020/09/13

孤独なヤモリ
薪焚き人の会で重要視していることがあります。それはこういうことです。

原則として自分で作った薪(薪原木)は自分のものとなること。
活動日に自分で生産した薪(薪原木)は、その日の内に自分が持ち帰ること。

つまり「自分の能力に応じて働き、その働きに応じて受け取る」ということです。

人間の協力と助け合い、確かに美しい言葉の響きです。しかしその美しさが時として、集団による労働の生産性低下と不平等を生じさせることがあります。そして、その不平等感が集団を崩壊させる原因になることもあります。

例えば、ある活動日に3人の薪焚き人が森に入ったとします。あるメンバーのチェンソーが整備不良で全く仕事にならなかったとします。すると2人の生産力で薪を作らねばなりません。作業終了後2人の生産物を3人で分けたとしたら、本来3人全員で生産したよりも一人当たりの取り分が少なくなります。確かにチェンソーの不測の不調は現実にあります。ほんの些細な不平等感かも知れません。そんな冷たいことを言わなくてもと思われるかも知れません。しかしそんな些細な不平等感から集団に亀裂を生じさせることがあることも事実です。大方人間関係の亀裂は些細なことから始まるものです。

「リンゲルマン効果」という現象があります。「社会的手抜き」とか「ただ乗り現象」とも呼ばれます。これは、集団内にあって自分の努力の量に関わらず報酬が変わらないという前提ならば、無意識に努力を怠る傾向が見られるというものです。集団の力は個々人の力の総和とは限らないということです。チェンソーの不備や燃料切れなども手抜きの無意識的失策行為かも知れません。

薪焚き人の会では、1人で森に入って薪を作ることは禁止されています。危険だから必ず2人以上でないと入山できません。しかし一方で、各人が自分の行動に責任を持ち自分の力で薪を作る気概を持ち続けることも大切だと考えます。

参考 : リンゲルマン効果・・20世紀初頭、フランスの農学者マクシミリアン・リンゲルマンは、荷車を引くなどの集団作業時の一人当たりのパフォーマンスを数値化した。実験の結果、1人の時の力を100%とした時、2人の時は93%、3人では85%、4人では77%、5人では70%、6人では63%、7人では56%、8人では49%と一人当たりの力の量が減少した。

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