One’s Way[ワンズウェイ]のブログでは、里山暮らしのあれこれを綴ります。ヘンリー・ デイヴィッド・ソロー の影響を受け、エシカルな暮らしを追求中。薪ストーブを暮らしの核とし、菜園、ガーデニング、サイクリング、ランニングなどを楽しんでします。

■ ある価値の贈り方 by T2021/11/28

ハンスイヌメの作品
僕がたまに訪れる京橋の某画廊、そのオーナーの話で、とても印象深い話があります。

ある日、年配のご婦人が画廊を訪れました。その女性はローランサンの絵画を購入されました。オーナーがその女性に、購入の動機を伺うと、彼女はこう話されたそうです。
「生まれたばかりの孫娘にプレゼントしようと思っています。昨今はお雛様を買ってあげても、狭い部屋に置くスペースも十分でないし、日々家族は忙しく、お雛様のお世話も大変でしょう。でも絵画だったら場所もとらず、ずっと飾って楽しめます。」

生まれたばかりの赤ちゃんにとって、ローランサンの絵画たるものが如何なる価値のものなのか、現時点でが分かるとは思えません。しかしだからこそ、この女性がお孫さんに、ローランサンの絵画というモノを通じて、孫娘の一生という長期的展望から、何か価値あるものを与えているように、僕には思えてなりません。

お孫さんの通学の送迎をしたり、振袖や洋服を買ってあげたり、中にはクルマを買い与えたり、はたまた孫娘の結婚に際し家まで用意してあげたり、世の中にはいろいろな人間模様があり愛情表現があるでしょう。でもそんな中で、僕はこのローランサンの話がとても好きです。

先日の朝、町内の不燃物収集日でした。近所でリフォーム中の家があって、たくさんの不燃廃棄物が収集場所に集まっていました。そんな光景を見て、なぜか、ふとローランサンの話を思い出しました。

■ 700円でお腹いっぱい?! 雨の休日の過ごし方 by M2021/11/24

昨日は、勤労感謝の日の祝日でした。朝から雨でしたので外仕事を諦め、以前からチェックしていた富山県美術館の企画展「TRIALOGUE」へ行ってきました。

観覧料はクマ割(クマがモチーフの小物持参による割引)で、大人一人900円のところが700円。2時間目一杯鑑賞し、ランチをしてから再入場。常設展も観てさらに1時間、入館から4時間滞在しました。美術館を後にする頃には、お腹も心も目もいっぱいになりました。

何がいいって・・・・・
1)休日にもかかわらず駐車場はガラガラ
2)展示室もゆったり
3)そして、展示作品

横浜美術館・愛知県美術館・富山県美術館の3つの美術館の「トライアローグ」により、それぞれのコレクションを組み合わせて20世紀西洋美術の歴史を振り返る展覧会でした。

とにかく展示作品が凄い!
ヨーロッパの美術館に舞い込んだような気分になります。20世紀を30年ごとに区切って展示してあり、20世紀美術の流れを感じることができました。

写真はSNS投稿が可能な作品の中で印象に残ったものです。


網の中の赤
ヴァシリィ・カンディンスキー<網の中の赤>1927年 幾何学的な図形の中に柔らかに浮かぶ赤と緑。抒情を感じさせる作品です。

女の館
パウル・クレー<女の館>1921年 リズミカルな音楽な聞こえてきそうです。


写真には収めましたが、投稿できない作品を一つ紹介します。
アレクサンダー・カルダー<片膝ついて>1944年 6つのブロンズの塊が絶妙のバランスで釣り合っています。今にも動きそう・・・

展示作品の充実度を考えると700円では申し訳ない気持ちで一杯になります。

ちなみに・・・・・
他館の観覧料は、横浜美術館:1,500円、愛知県美術館:1,400円でした。富山県の納税者のみなさまにも感謝します!

さらに・・・・・
鑑賞アプリが楽しい!
9作品について、鑑賞する際の視点や作者の背景などを知ることができます。

暮らしのデザイン誌:CasaBRUTUS(カーサブルータス)にも取り上げられていましたよ! 
記事には横浜美術館の展示写真が掲載されていますが、富山県美術館では、一味違う趣を楽しめるのではないかと思います。

そして、思いがけず・・・・・
夫の古い知人が【アートマルシェ】水辺のアーティストライブでギターとウクレレ演奏をしていました。悪天候のため、美術館での演奏になったとのことでしたが、30分の演奏中、時折雲間から青空がのぞき、心温まる時間を過ごせました。

家から30分で富山県美術館に行ける金山里山。ここから離れることはなさそうです。



■ 新しい鑑賞様式 by T2021/05/01

ポーラ美術館コレクション展「印象派からエコール・ド・パリ」

ステイホームという新しい生活様式がフツーになってきました。結構自分達に合っているかも、と夫婦で話しています。元々10年以上、食材は宅配サービスを利用してきて、コロナ禍以前からスーパーマーケットへは滅多に行かなかったし、普段滅多に外食・外飲みも行かなかったし、大型連休は毎年、煙突掃除とガーデニングで過ごしていたし・・。

ただ、美術館や画廊訪問に関しては、東京や海外へ行くことが困難になって困っていました。

そんな折、富山県美術館にて現在、ポーラ美術館コレクション展「印象派からエコール・ド・パリ」が開催されています。昨日2人で行ってきました。

良かったです! 作品の良さは言うまでもないので、それ以外にどんなところが良かったのか述べましょう。

それは来館者の適度な人数。先日のブルーインパルスを観に来た人はごった返したようですが、モネの『睡蓮』前は空き空きでした。静かにゆっくり各作品を鑑賞できました。それに駐車場もラクラク。ルノアールの『裸婦』を鑑賞するよりも、よっぽどスーパーマーケットで牛乳を買う方が人も車も混雑しているかも知れません。

例えば大相撲の地方巡業だったら力士も手抜きするやも知れません。しかし世界的名画の数々は、たとえ地方巡業とはいえ決して手抜きすることはありません。同じクオリティを、最高の鑑賞環境で味わうことができるのは有難いことです。

食材の宅配やオンライン・ショッピングのように、アート鑑賞においても、作品に来てもらうのが良い。人の移動はウイルス感染を拡大しますが、アート作品がウイルスを運んでくることはありません。

チョロチョロ出歩くのが苦手な貴方へ、ステイホームをベースとして、新しい鑑賞様式を一緒に楽しみましょう。

■ One's Wayのオススメです! by M2021/03/20

金沢の21世紀美術館そばの”Cafe & Gallery ミュゼ”で、One's Wayのイベントで何度もお世話になった「タウの木」中村ヨウイチさんの作品をご覧いただけます。

ペケのアトリエさんぽ

ペケのアトリエさんぽ

会期中、中村さんは在廊とのこと。

お父様のご逝去に伴い、奈良市内のお父様のアトリエに制作の拠点を移し、アトリエ兼ギャラリー「タウの森」をオープン。国の登録有形文化財に指定されている建物です。新しい空間で生まれた作品に触れていただけることと思います。アクセサリー、オブジェ、ランプシェードほか、無意識をくすぐられる作品に飽きることはありません。

「タウの木」中村ヨウイチさんについては、こちらもご覧ください。


■ コロナを忘れる一瞬 by M2020/12/19

昨日、所用で砺波へ行ったついでに砺波市美術館で開催中の「至高の精神展 総集編 Part.3」を鑑賞してきました。

私たちが懇意にしている本郷仁さんの作品が展示されています。コロナ禍で外出がままならない中、安全な空間の一つが美術館です。

平日の午前中、館内は私たちと監視員だけでした。富山県内で活躍されている5名の美術作家の作品は冬の凛とした空気の中で、静かにそして鋭い光を放っているようでした。


ささえになるもの
とりわけ惹かれた作品は堀敏治さんの「ささえになるもの」です。日本画ですが、凹凸がある不思議な作品です。壮大な宇宙が描かれている印象を受けました。心の中に存在する宇宙と言ってもいいかもしれません。


杉林
夫が好んだ作品は広田郁世さんの「杉林」でした。私たちが住む里山の風景に通じます。キャンパスに描かれた陰影に、静謐さを感じました。新型コロナウィルス 感染拡大で騒つく世の中と少し距離を置き、穏やかさを感じる作品です。

会期は令和3年1月24日(日)までです。


■ 「瞬間の光り」木梨憲武展 by M2020/10/17


木梨憲武展「瞬間の光り」
昨日、富山市ガラス美術館「キラリ」で開催中の木梨憲武展「瞬間の光り」へ行ってきました。今週は月曜日の富山県美術館に続いて美術三昧の週になりました。

金沢21世紀美術館で開催された木梨憲武さんの展覧会に2度行ったことがありました。休日に行ったことのあり、駐車場に入るのに待ち、チケットを購入するのに待ち、ようやく会場に入れても人、人、人。作品をゆっくりと楽しむことが難しい体験をしました。

しかし、昨日は前売り券を購入済みで平日ということのあったからでしょうが、スムーズに入場できました。来場者もそこそこいましたが、作品は自分のペースで楽しむことができました。

しかも、「REACH OUT」のガラス作品の展示コーナーでは写真撮影ができ、幸せいっぱいの一時を過ごせました。

ガラスのREACH OUT

ガラスのREACH OUT

金沢で観た作品もありましたが、新たに加わった作品も多く、木梨さんがどのような想いで作品を作っていたのかを想像しながら鑑賞しました。

その瞬間は、次の瞬間には過ぎ去ります。この瞬間を存分に楽しむ木梨さんの姿が目に浮かびました。そして、作品を鑑賞している瞬間に幸福感で溢れる自分に気づく瞬間でもありました。

11月23日まで開催中です。まだ訪れていない方は、是非、ご覧ください。木梨憲武さんの才能に震え、作品を楽しみ、幸せな瞬間(とき)を過ごせることと思います。

プラス、会場となっている富山市ガラス美術館は隈研吾氏の設計。木と金属とが融合した不思議な空間です。建築もご覧いただく価値がありますよ。


■ 私ならこう見る!・・・手すり考 by M2020/10/13

昨日、富山県美術館に久しぶりに行きました。お目当ては「TADのベスト版 コレクション+(プラス)―あなたならどう見る?―」

TADのコレクションの素晴らしさは理解していたつもりでしたが、想像以上の時を過ごしました。そして、作品を生かすも殺すもキュレーター次第ということを実感しました。

さて、昨日はコレクション以外にも収穫がありました。それは手すりです。館内は富山有数の工業製品の一つアルミ素材で作られたスタイリッシュな手すりが設置されています。

屋外に目を向けると我が家と同じ亜鉛ドブ漬けメッキ製の手すりが設置されているではないですか!我が家の玄関アプローチの橋と手すり、最初は木製でした。2010年に今の亜鉛ドブ漬けメッキ製に付け替えたのですが、デザインがあまりにも似通っていたのでびっくり!

我が家の手すり

富山県美術館の手すり

TADの開館は2017年でしたから、橋と手すりをデザインして下さった天野さんが真似をしたということはないでしょう。私が信頼している旅行サイト「トリップアドバイザー」でも高評価を得ている富山県美術館。その一部が我が家と重なるなんて嬉しいことです。

富山の誇りTADにどうぞ足をお運びください。昨日は来場者はまばらでソーシャルディスタンスを十分にとり、安心して鑑賞できましたよ。


■ 風景の成り立ち by T2020/09/05

ガラス作家、本郷仁氏の個展に行ってきました。タイトルは「風景装置」

風景装置

鏡に映る自分、鏡が反射する光、その鏡が刻一刻と移動し、自分自身の視点も刻一刻と移動する。それらが複雑に絡み合って自分の眼に映る世界が変化する。世界を眺めているのは自分なのだが、その自分自身も風景を作り出している客体表象の一部になっている。そんな世界に導いてくれる「風景装置」。

日頃私たちはよく口走ります。「田舎の田園風景はいつ見てもキレイ」「里山の雑木林は軽井沢にいるみたい」「やっぱり自然の中が一番」「子育てや教育は自然の中に限る」などなど。

言いたいことは分かります。でも一方で、何となくうわべを撫でただけのような薄い感覚も否定できません。何故なら風景は見られる側で私は見る側、自然は自然で人間は人間、そこには分断する壁があるような言葉の響きだからです。

本郷仁氏の「風景装置」は、そんな分断の壁を取り除き、自分自身も自然風景を作っている重要な要素であることを示唆してくれました。

例えば、外出する際どんな衣服、帽子、靴などを着用するか、家の前庭にどんな植栽を施し手入れはどうか、道路や側溝にゴミを捨てるか否か、あるいはゴミを拾うか、どんな車種のどんな色のクルマを走らせ、そのクルマは綺麗か汚れているか、あるいは敢えてクルマを使わず、歩いたり走ったり自転車に乗ったりするか、どんな話し声や音を周囲に発するか・・などなど、全てが風景を作っていく。

普段の日常で自分自身がどう行動するかによって風景を作り風景が変わっていく。自分自身がどう考えるかによって風景が違って見えてくる。

自分はたった一人のちっぽけな存在、でも自分の身の処し方ひとつで、自分の住んでいる里山の風景は上高地にもなり、軽井沢にもなり、ダウンタウンにもなり、そしてスラム街にもなり得る。

世界を変えたいなら先ず自分を変えること。「風景装置」からそんなメッセージを感じました。

■ 鏡の世界で人形パフォーマンス by M2020/08/13


風景装置
久しぶりにイベント案内です。

One’s Wayのイベントでもご協力いただいた本郷仁さん。
この夏、城端で個展を開かれます。

「風景装置」
期日:8/15  -   9/22
時間:10:00  -  17:30
会場:じょうはな織館

入場無料となっています。

伊藤拓次さんによる人形パフォーマンスもあります。

風景装置

詳しくは「じょうはな織館」のwebサイトでご確認ください。

よろしければ、2018年の本郷仁さんの個展と人形パフォーマンスの様子もこちらでご覧ください。

■ 目に見えないモノをデザインする。 by T2019/07/09

ダイソンクールとB&Wのスピーカー
室内装飾の面からすれば、扇風機という電気製品はできれば無い方が良い。室内の雰囲気を極力悪くしないように扇風機を設置することは難しいです。

と思いきや、これは絵になる風景だ!

ダイソンクールとB&Wのスピーカーのマッチング!イッツ・ソー・クール!!

ダイソンクールは扇風機というより送風機。掃除もサッとひと拭きで終了。一枚一枚羽を拭く必要もなく、指をケガする心配も無い。細長い楕円は空洞で背景の雑木林を遮らない。そしてこの楕円形がB&Wのスピーカーカバーと妙にマッチしている。

目に見えない風と、同じく目に見えない音。そんな風と音の視覚デザインが類似するのは、単なる偶然と片付けられようか?

話は変わるが、今、蝉の初鳴きが聞こえてきた。今夏、我が家の庭の蝉の初鳴き。
でも蝉の姿は僕には見つけることができない。