One’s Way[ワンズウェイ]のブログでは、里山暮らしのあれこれを綴ります。ヘンリー・ デイヴィッド・ソロー の影響を受け、エシカルな暮らしを追求中。薪ストーブを暮らしの核とし、菜園、ガーデニング、サイクリング、ランニングなどを楽しんでします。

■ 片桐のキスリング by T2018/08/23

片桐のキスリング
登山やアウトドアスポーツに使用する道具類の進化は著しい。今の時代、カニの横ばいみたいな形をした古めかしいキスリングを担いで登山する人は少数派。

でも僕はこのキスリングが大好きだ。前世紀に東京湯島にあった登山用品の老舗「片桐」で購入したキスリング。ファスナーは一切無く、開閉は紐結びと革ベルト。ナイロンの軽いシャカシャカ擦れる音が無く、帆布の重たいゴワゴワ音が僕にとっては心地良い。

このキスリングはヒマラヤトレッキングでエベレストも拝んだし、アイルランドのアラン島で大西洋も拝んできた。

里山に移り住んで17年。移住直後の2001年に富士山よりも標高の高いネパール、シャンボチェの丘(標高3800m)まで遊びに行って以来、アルピニズム登山を断ってきた。意識して断ってきたわけではないのだが、標高50メートルほどの里山暮らしを続ける中で、自然と3000メートル級の高山とは疎遠になってきた。薪を作ったり樹木が育つのを助けたり、いわば日常暮らしを地味にこなしていると、非日常の神々しい高山に出向く時間が消去法で消えていったのかもしれない。

現在このキスリングは、災害避難用の非常持ち出しザックとして身辺に常備してある。

近日、高齢の母を連れて上高地に出かける予定だ。久々に片桐のキスリングを担いでアルピニスト(もどき)に戻ってみようかな?中学一年生の時、暴風雨で視界の利かない中、母に連れられ立山雄山の頂上まで登ったのが、山に魅せられた原点だった。翌年からは革製の登山靴を履いて一人で登山し始めていた。

古びた片桐のキスリングは、日本近代登山発祥の地である上高地にはとても似合うと思う。ただ純粋に山に登ることを目的とする喜びというものを教えてくれたウォルターウェストン氏の石碑の前で、母と妻とキスリングと共に、記念撮影して来よう。

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