One’s Way[ワンズウェイ]のブログでは、里山暮らしのあれこれを綴ります。ヘンリー・ デイヴィッド・ソロー の影響を受け、エシカルな暮らしを追求中。薪ストーブを暮らしの核とし、菜園、ガーデニング、サイクリング、ランニングなどを楽しんでします。

■ プロスペクト理論 by T2021/12/22

里山の風景
人間は、順調で余裕のある時は損失を回避して手堅い行動を選択するが、不利な状況で余裕のない時は一発逆転を狙うような大胆ハイリスク行動を選択しがちである。このように私たちの意思決定は必ずしも合理的に行われるのでなく、感情や感覚の歪みによって期待値が変化する。これをプロスペクト理論と言うらしい。プロスペクト(prospect)とは予想とか期待の意味の英語である。

ギャンブルで負けている時、どんどん掛け金が大きくなりがちなのは、プロスペクト理論から説明できる。

ところで、年末の宝くじの時期である。宝くじの1等当選の確率は天文学的数字の限りなくゼロに近い確率で、さらに国などの宝くじ運営団体が確実に利益の一部を回収するのでゼロサムゲームとは言えず、損をする確率が限りなく100%に近い。にも関わらず、私たち人間は、超低い当選確率を過大評価し、超高いハズレ確率を過小評価しがちである。

宝くじにより大きな期待をかける傾向が強くなってきたならば、今の自分や今の社会が、不調で余裕のない状態に傾いてきている知らせかも知れない。

また一方で、満足感や余裕というものは、認識の仕方によって変化するものだ。お店も少なくアミューズメント施設もなく地味で質素なカントリーライフだとしても、明日食べるものと住む場所と家族円満が、ささやかでも確実に有るならば、それを満ち足りたものと評価し、手堅く細々と生きることも一つの賢い選択であろう。

里山カントリーに移住した者として言わせてもらえれば、簡素に自然と共に満ち足りた気持ちで暮らす覚悟ならば、傾向として大きな損失を被るリスクはかなり低いと推察するのだが。

■ 準備しました by T2021/12/20

スノーシュー
いつでもスノーシューを履くことができるよう、今シーズンも準備が整いました。

スノーシューとはアウトドアスポーツ用の現代版カンジキです。我が家のスノーシューは、レクリエーション用というよりも日常の道具です。薪置き場の雪かき作業や、菜園から白菜や大根を雪の中から掘り出してくる時などに使います。

だからいつでも取り出せて、使用後は薪ストーブで乾かすことのできるよう、毎年この時期に、階段下に設置型フックを組み立てて置きます。冬が終わればフックは撤去されます。

今年の春に、裏山の竹藪整美が行われ歩きやすくなったので、スノーシューを履いて里山歩きできればと楽しみにしています。クロスカントリースキーに比べて取り扱いが容易で、急坂でも楽に移動できます。

雪の里山暮らしを始めてから、リフト券を購入してのゲレンデスキーに出かけることが無くなってしまいました。

昨シーズンの大雪の際は、家の周りの雪かきに大活躍しました。今シーズンはどうでしょう?活躍しすぎるのも大変ですが、せっかく準備したのだから、全く活躍しないのも寂しいような複雑な心境です。

■ 里山活動の原点 by T2021/12/06

縄文時代より、日本列島に住む私たちの祖先は、森に分け入り、自然の恵みを頂くと同時に、森の恵みを次世代に受け継つぐよう努めてきました。そのような悠久の営みは持続可能な開発そのもの。つまり約1万年前から、私たちの祖先は、SDG’sを綿々と実践してきたわけです。

2021年12月5日の朝、金山里山の会の会員数名が、森に感謝し、森の再生を促すため、落葉進んだ師走の森に集まりました。

そして、刈り払い機や草刈り鎌を使って下草を刈り、小楢の若木や切り株から萌芽したひこばえに目印のテープを結ぶ作業を行いました。
下草刈り

マーキング作業
今回使用した生分解性マーキングテープは、自然分解され土に戻る性質のもの。マイクロプラスチック問題を引き起こさず森を汚しません。そんな黄色いテープが至る所に結ばれた風景は圧巻!逞しく未来の森が成長している手応えを感じることができました。

作業後、清々しい気持ちになったと同時に、そもそも金山里山の会とは何をする会なのか?金山里山の会とは何を目指す会なのか?そんな会の原点に立ち返ったような一日でした。

「文明人とは、経験を積んだ原始人である」 ヘンリー D ソロー

■ 脱炭素社会へのチップ化 by T2021/11/19

里山
先日、射水市農林水産課職員の方、及び金山里山の会前会長とともに、森林視察を行いました。僕が市の方へ訴えたかったことはただ一つ、
【樹木枝葉等のチップ化を支援して欲しいということ。】

昨今は、街中のみならず、どの地域においても、以下のようにPRされます。
「剪定した枝葉を自宅敷地や農地等で燃やすことはやめて欲しい。枝葉は市の焼却施設へ運び、有料で焼却してもらって下さい」

果たしてそれだけで、本当にいいんですか?

大量に運ばれてきた枝葉を、一気に大量に燃やすと、温室効果ガスたる炭素が一気に放出されますよ。今は脱炭素社会、カーボンニュートラルを目指す時代です。本当にそれでよいのですか?  

そこで提案するわけです。

剪定した庭木の枝葉や、里山整美で生じた枝葉をチッパー機にかけて、生じたチップを森林に撒いたり、堆肥の材料にしたり、庭に防草目的で撒いたりする。そうすればチップがゆっくり分解されて炭素放出もゆっくり緩和される。炭素ががゆっくり放出されると同時に、分解された無機肥料分を吸収して樹木や植物が成長し炭素を吸収してくれる。故に炭素放出がゼロとなる。

今、金山里山の会では、樹木の枝葉をチップ化するチッパー機を購入する予定です。チッパー機は会での使用のみならず、地元自治体の住民にも利用を開放して、自宅剪定枝葉のチップ化支援を考えています。そのような脱炭素社会に向けた住民の主体的活動を、射水市行政側にも知ってもらい、バックアップしてもらいたい。

このことが、僕の訴えたかった唯一のことでした。

■ TUMURAチップソー by T2021/11/13

ツムラL-52
先日、富山県森林研究所の先生に、私たち金山里山の会が整美している森林を見てもらいました。約3年前にコナラの木を伐採した場所では、切り株の萌芽更新や実生更新といった天然更新がとても順調になされているといったコメントを頂きました。これほど上手く育っている例は少ないということで、研究誌に事例として紹介してもらうことになりました。

「山の持ち主に、よりキレイな状態でお返しできることはとても嬉しい」と、前会長もおっしゃっていました。僕も同感です。

とはいえ、場所によっては伐採によって日当たりがよくなり過ぎて、クマザサが増えた場所もあります。今後下草の高刈りと苗木植樹を行う予定です。

金山里山の会で使用している刈り払い機の刃(チップソー)は、株式会社ツムラ製のL-52オールラウンド。これはチップソーというよりも丸ノコ並みの切れ味で、細い雑木ぐらいだったら切り倒していきます。余程のことがない限りチップソーが飛ぶこともなく、研磨して使い続けると、量販店の安物チップソーを使い棄てするよりもかえって経済的で効率的。

田舎に住んでいると、当然のように一家に一台は刈り払い機があります。そんな中にあって、ツムラL-52を搭載している刈り払い機を振り回していると、役者が違うといった自己満足に浸れますよ。

里山は、奥山や原生林と違います。人間が山に入って木を伐ることによって森が新陳代謝して活性化・再生化し続けるのが里山。森と人間の折り合いが里山です。

■ 金山里山の魅力発信! by M2021/11/09

1月3日(文化の日)に、金山コミュニティセンターで「金山の未来を考えるーさまざまな垣根をこえてー part2:金山の未来を創る」が開催されました。

金山の未来を考えるぱrt2:未来を創る

金山の未来を考えるPart2:未来を創るウラ

金山の魅力に改めて気づくと共に、金山のワクワクする未来に向けて行動に移すきっかけとなりました。詳しくは、インターネット上の掲示板Padletをご覧ください。

射水市地域おこし協力隊(移住コーディネーター)の山田さんも参加され、イベントの様子をインスタグラムで発信してくださいました。

さて、もう一つ、魅力を確認できるサイトをお知らせします。

住所を入力するだけで浸水の可能性、地震時の揺れやすさ、液状化の可能性、土砂災害の可能性が一目瞭然です。我が家の診断結果は・・・

液状化の可能性…非常に低い
浸水の可能性…なし
土砂災害の可能性…なし
地震時…揺れにくい

まずはお試しあれ!


■持続可能な樹木 by T2021/10/28

コナラ
先日、金山里山の会の某若き会員と一緒に、里山間伐整美している場所でコナラを伐りました。若き会員は自家製椎茸原木を調達するためであり、僕は薪原木を調達するためです。

一本のコナラを伐ると、根元に近い太幹は薪用に、中間の適度な太さの幹は椎茸原木に利用できます。加えて枝葉はチップ化して堆肥に。

コナラは古木になる前に伐ってあげると、根株からひこばえを出して再び成長します。これを萌芽更新と言います。萌芽更新を繰り返せばコナラは新陳代謝して健康な状態を保つことができ、更に大木にならず伐倒に適した太さを維持できます。

現在、原油高騰、石炭火力発電抑制、核廃棄物問題等々、従来のライフスタイル変更を余儀なくされ、確実にその代償は家計を圧迫しつつあります。

それに引き換え、コナラは極めて優秀な持続可能資源です。

■ 秋の味覚、むかごご飯 by M2021/10/12

むかご
週末、散歩中にむかごを発見!むかごは山芋の葉の付け根にできる球状の芽(球芽)です。

ふと道端の樹木に目をやるとむかごが付いているではありませんか。

里山に土地を購入して以来、ワラビ、サンショウ、セリ、フキノトウ、キクイモなど、山菜が簡単に手の届くところに自生していることを近所の方などに教えていただきました。むかごもその一つです。

十穀も混ぜたむかごご飯に。栄養抜群、食感も楽しめました。栗ご飯が終わって、次はむかごご飯。この後は何でしょう。

里山生活は、心はもちろんのこと、お腹も満たしてくれるのです。

■ 移住を促進する旅の人 by T2021/10/05

秋の里山
昨日、射水市未来創造課から定住・交流促進係長や移住コーディネーターの方々が我が家を訪問されました。案内役として金山里山の会会長以下役員もお越しになり、距離を保ちながら賑やかに話をすることができました。

ところで富山県では、私達のように他所からの移住者を「旅の人」と呼ぶことがあります。でも、実際本当に旅する人いわゆる観光客は、「自然が美しい」とか「風景が素晴らしい」とただ語り、そして見物して去っていきます。

移住し住人となった「旅の人」は、ただ里山は良い所だなーと傍観者のような感想を言っているだけで良いのでしょうか?

里山の美しい自然や素晴らしい風景は、何もせずとも唯そこにあるわけではありません。変わらないということは何もしないということでは決してありません。美しさや素晴らしさを変わることなく維持する背景には、住民達の労力と努力が存在しています。

射水市の定住・交流促進係長に、「今後移住を考えている人たちに、実際移住された人のナマの声や体験を語ってもらえないか」と依頼されました。是非協力させて下さいと応えました。

「旅の人」は観光客のような傍観者ではありません。「旅の人」も地域住民であり地域作りの主体・参加者です。そこには垣根がありません。美しく素晴らしい里山の維持努力に参加できる機会があるならば、それは大きなチャンスですし、未来の「旅の人」を受け入れる橋渡しになれたならば、とても有難いことだと考えます。

■ コナラを伐る罪悪感 by T2021/10/04

小楢(こなら)
僕の所属する金山里山の会には、自らチェンソーを扱うようになった女性会員が一人います。自宅の薪ストーブの燃料を自分で調達するため、毎月第1日曜日の定例活動日に、はるばる隣町からやって来ます。大きめの原木は扱うのが大変なため、細めの原木を切り運び出しています。男性でもあまりしない作業を本当によくやっています。

昨日の活動で、彼女は初めて知ったそうです。それはコナラなどの樹木は、年老いて大木になる前に伐ってあげた方が、ひこばえを出し萌芽更新という新陳代謝を活発にするという事実を。萌芽更新という知識を知ることによって、樹木を伐る罪悪感が薄れたそうです。

太古の原始時代から、コナラやクリの木などブナ科の樹木と人類は共存してきました。今里山に自生している小楢の樹木も、ひょっとしたら縄文人や弥生人達が種を蒔いたり、伐木萌芽更新を繰り返したりした結果の子孫かも知れません。

私たち薪焚き人の活動も、自らの暮らしを支えつつ、同時に次時代へのコナラの橋渡しをしているのかも知れません。