One’s Way[ワンズウェイ]のブログでは、里山暮らしのあれこれを綴ります。ヘンリー・ デイヴィッド・ソロー の影響を受け、エシカルな暮らしを追求中。薪ストーブを暮らしの核とし、菜園、ガーデニング、サイクリング、ランニングなどを楽しんでします。

■ 不便益 by T2021/10/01

不便益な自転車
「不便益」という言葉をご存知ですか?不便さがもたらす利益のことです。不便益の研究の第一人者、川上浩司京都大学教授が学生時代に所属していた研究室の片井修教授の造語とのこと。

便利=良い、不便=悪い ではなく
世の中には、良い便利、悪い便利、良い不便、悪い不便 の4種類があり、不便益とは良い不便とも言えます。

便利さの追求が極めて激しい場面は、日々の家事労働。その中でも食事に関する便利追求は昨今めざましいものがあります。ということは食事に関して不便さが急速に無くなりつつあります。僕は近い将来「料理する」という言葉が死語になるのではないかと思っています。

朝起きたら電気炊飯器で御飯が炊き上がっている。電子レンジで直ぐにおかずが出来上がる。味噌汁の出汁は粉末をとかすだけ。旨味は味の素をかけるだけ。洗い物は食器洗浄機に放り込む。お湯は電気ポットで沸いている。というふうにとても便利にも関わらずテイクアウトや外食に出かける。危険な火も包丁も不要です。でも食事に対する感謝や有難さの気持ちも不要になるかも知れません。

かつて、食器洗浄機を購入したのは食器洗いの時間を省き、その分家族との会話時間を増やすためと言っていた知人がいました。僕だったら一緒に食器を片付けながら会話する方を選択しますが。

人類の文明は、少々の困難や不便さを克服する過程において生まれてきました。つまりは不便さは人間進化の源です。では反対に便利さとは何を生み出すのでしょうか?

歩くのを不便に思い、クルマをサンダル代わりにしていた結果、歩行困難になり、歩行困難になってからリハビリ歩行訓練する人間になるくらいなら、歩ける時に歩く方が楽しいです。歩くとクルマ移動で見過ごしてしまうような物事を発見できます。例えば素敵な庭のデザインとか・・それが不便益。

皆さんは、今、どんな不便な暮らしを敢えてお過ごしですか?

■ 土壌分析 by T2021/10/02

有機栽培
野菜の有機栽培を本格的に持続していくために、我が家の菜園の土を化学的に分析してもらいました。

知人の専業農家から教えて頂いた栽培コンサルタントは、長野県に本社のある株式会社ジャパンバイオファーム。丁寧な応対で第一印象は良好です。

今まで有機栽培は、経験と感覚で行われてきた感があります。また有機栽培だから見た目や収穫量が悪くても、そんなもんだろうといった諦め感もありました。有機栽培だから栄養価も高いんじゃないかといった漠然としたイメージもありました。そして有機栽培は環境意識高い系の人がやるものといった棲み分け感もありました。

そんな先入観を一掃し、科学的及び化学的根拠を元に、有機栽培が化学肥料栽培より、長期はもとより短期的にも環境面や品質面で優位であることを実証したいと考えます。

と同時に、有機栽培は自然放任栽培とも異なります。そもそも野菜は天然の山菜ではありません。野菜は人工物です。野菜が人工物である以上、作為的に土壌改良や施肥を行う必要があります。有機野菜だからといって栄養価が高いとも限りません。むしろ有機栽培は化学肥料栽培よりも土地を痩せさせることも考えられます。

カンと経験に頼るだけでなく、また、環境や健康といった倫理感情に訴えるだけでなく、理屈で論理的に説明できる野菜の有機栽培を続け、その蓄積された成功事例や失敗事例データを次世代の人間に伝えて行けたならば、有機栽培が持続可能な栽培になるのではないかと考えています。

■ 余らぬやう 不足なきやう by T2021/10/03

緑の庭
昨日10月1日、タバコの値上げが行われました。何と!一箱600円台になったそうです。その内300円以上が税金です。

最近は嫌煙傾向の強い時代ですが、それは煙が目に見えるモノだからでしょう。とにかく目に見えるものは目立ちます。ポイ捨てされた吸い殻もよく目立つ。

それに対して、税金は目に見えない。意識されにくい。だから、たくさん税金を負担してくれているということで愛煙家に感謝する人はほとんどいません。

でも、喫煙者は傾向として健康を害すリスクが高いそうですので、傾向として病気になり医療保険制度を圧迫しているとすれば、その弊害も目に見えません。

総じて見るに、喫煙者は身体を犠牲にして多くの税を納めると同時に、あまり喫煙による患者が増えると財政を圧迫するということでしょうか。もしも徳川家康(もしくは本多正信)ならば「この世をば、喫煙者を生かさぬよう殺さぬよう」と命ずるかもしれません。

とにかくも、人間は傾向として目に見えるものに強く影響を受けます。メラビアンの法則を引き出すまでもなく、人間は視覚優位な生き物のようです。

例えば、菜園や庭の雑草。見えると気になります。でもその雑草が光合成をして二酸化炭素を吸収したり、根が土を柔らかくしたり、枯れ草が土地を肥していることにはあまり意識されません。

目に見えないものを意識する姿勢は、思考を柔軟にしてくれると僕は考えます。柔らかい頭で、雑草と協力して、でもあまり雑草が伸びるとそれも問題ですので、雑草を「力の余らぬやう、不足なきやう、治むること道なり。」

■ コナラを伐る罪悪感 by T2021/10/04

小楢(こなら)
僕の所属する金山里山の会には、自らチェンソーを扱うようになった女性会員が一人います。自宅の薪ストーブの燃料を自分で調達するため、毎月第1日曜日の定例活動日に、はるばる隣町からやって来ます。大きめの原木は扱うのが大変なため、細めの原木を切り運び出しています。男性でもあまりしない作業を本当によくやっています。

昨日の活動で、彼女は初めて知ったそうです。それはコナラなどの樹木は、年老いて大木になる前に伐ってあげた方が、ひこばえを出し萌芽更新という新陳代謝を活発にするという事実を。萌芽更新という知識を知ることによって、樹木を伐る罪悪感が薄れたそうです。

太古の原始時代から、コナラやクリの木などブナ科の樹木と人類は共存してきました。今里山に自生している小楢の樹木も、ひょっとしたら縄文人や弥生人達が種を蒔いたり、伐木萌芽更新を繰り返したりした結果の子孫かも知れません。

私たち薪焚き人の活動も、自らの暮らしを支えつつ、同時に次時代へのコナラの橋渡しをしているのかも知れません。

■ 移住を促進する旅の人 by T2021/10/05

秋の里山
昨日、射水市未来創造課から定住・交流促進係長や移住コーディネーターの方々が我が家を訪問されました。案内役として金山里山の会会長以下役員もお越しになり、距離を保ちながら賑やかに話をすることができました。

ところで富山県では、私達のように他所からの移住者を「旅の人」と呼ぶことがあります。でも、実際本当に旅する人いわゆる観光客は、「自然が美しい」とか「風景が素晴らしい」とただ語り、そして見物して去っていきます。

移住し住人となった「旅の人」は、ただ里山は良い所だなーと傍観者のような感想を言っているだけで良いのでしょうか?

里山の美しい自然や素晴らしい風景は、何もせずとも唯そこにあるわけではありません。変わらないということは何もしないということでは決してありません。美しさや素晴らしさを変わることなく維持する背景には、住民達の労力と努力が存在しています。

射水市の定住・交流促進係長に、「今後移住を考えている人たちに、実際移住された人のナマの声や体験を語ってもらえないか」と依頼されました。是非協力させて下さいと応えました。

「旅の人」は観光客のような傍観者ではありません。「旅の人」も地域住民であり地域作りの主体・参加者です。そこには垣根がありません。美しく素晴らしい里山の維持努力に参加できる機会があるならば、それは大きなチャンスですし、未来の「旅の人」を受け入れる橋渡しになれたならば、とても有難いことだと考えます。

■ 運動ノススメ by T2021/10/06

萩と吾亦紅
昨日の金山里山の会活動のことです。ある最長老の会員さんが現役で率先して薪割り作業をしておられました。

休憩時に、その大御所は語っておられました。
「人間は身体を動かしていることが大事。楽ばかりしていてはダメ。例えば、畑へ行ったとしよう。その時、鎌など忘れ物をしたら戻って取りに行かにゃならん。そんな時、面倒と思わないで、ああ運動できる良い機会と思うようにすればいい。そうするとイライラしなくてもいいし、運動にもなる。」

楽しく穏やかに、歳を重ねる秘訣を垣間見た瞬間でした。

■ 山伏の尻当て by T2021/10/07

前掛け
修験者たる山伏が身につけているモノに、熊や鹿皮で作った尻当てがあります。森の中でちょっと腰かけたりする時に、お尻が濡れたり汚れたりするのを防いでくれます。

毛皮は仰々しいので、僕はホームセンター等で販売されている前掛けを後ろに回して尻当てに使っています。市販の前掛けは綿製で水が浸透するので、市販の前掛けの裏に防水布を妻に貼り付けてもらいました。

本来は前掛けなので、薪を運んだりする時にも汚れ防止になり、チェンソーを使うときは少し丸めて垂れを短くして使います。

たかが前掛けですが、とても重宝します。

■ ホットプレート by T2021/10/08

ホットプレート
電気製品の寿命は傾向として、旧来の単純構造な電気製品の方が最近のマイコン制御製品よりも長寿命のようです。単純に通電をON,OFFに手動で切り替え、回転させるか電熱線を熱くするかのような電気製品は故障する場所がありません。それに対してマイクロコンピュータの基盤はちょっとした電圧の変化などで壊れてしまい、基盤が作動しないだけで全て動かなくなってしまいます。

30年前、私たち夫婦が結婚する際に、お祝い品の一つとして両親からもらったホットプレート。樹脂製の持ち手が破損した以外壊れることなく使用してきましたが、ここ2年ほどホットプレートの出番がありませんでした。

不燃物収集日に廃棄しようかと思いましたが、誰か有効活用してくれる人を探したところ、何と、送り主の母親が使うとのこと。ちょうどホットプレートを新調しようと思っていたとのこと。

ともあれ、収まるところに収まり良かったです。

■ どうやって夢を実現するか by T2021/10/09

『ニューサイクリング』2013年10月号の表紙
昔ある人が言っていた。「夢や目標を達成するためには、より具体的な目標を言語化・文章化し、その目標をいつまで達成するか具体的日時を明確にすること、そしてそれを常に忘れないこと、これが大事」

僕はかつてある目標を設定した。それは「自分の書いた文章を商業出版物として市場に流通させ、その出版物を国立国会図書館に保存させること」という目標。

ただし自費出版はダメ、市場価値のある商業出版でなければならないという条件付き。その理由は、市場の評価を受けていない出版物は自己満足の文学的自慰行為。しかも自腹で大金をはたいて自慰を行うなど無意味だと考えたから。売買という行為を通じてこそ、出版物に本音の評価と市場価値が生じるからだ。

この目標を立てたのが2012年1月。目標達成期限は2014年8月9日までと設定した。この期限日というのは、ヘンリーDソローが『ウォールデン 森の生活』の初版本を出版した160周年記念日、その日に合わせた。

目標達成のために僕が練った戦略はこうだ。ド素人で知名度ゼロの僕がいきなり書き下ろし単行本を出版社に依頼するのは無謀、そこで既存の出版雑誌に投稿し続け上宰を目指すという戦略をとった。僕の選んだ雑誌は50年以上の歴史のある『ニューサイクリング』。めでたく僕の文章が『ニューサイクリング』に掲載されれば、自動的に国立国会図書館に保存されるというわけ。

有難いことに2013年10月号では、文章に加えて撮影した写真も表紙を飾った。かくして、目標達成期限日までに目標を達成することができた。そして僅かながら市場価値としての掲載料も受け取ることができた。

「夢は必ず叶う」と根拠を示さず断言する人がいるが、僕はそこまで般化して断言することに抵抗感を感じる。
たとえ根拠希薄な夢であっても良い。ただし夢を叶えさせるための具体的戦略を立て、それに従って行動する意志力が重要と考える。目標達成の裏付けとなる根拠は、目標設定の後に作り上げても良いのではなかろうかと考える。

写真 『ニューサイクリング』2013年10月号の表紙
よろしければこちらもご覧ください。
http://onesway.asablo.jp/blog/2017/09/23/8682098

■ すぐり菜 by T2021/10/10

すぐり菜
「すぐり菜」という品種の野菜は存在しません。すぐり菜とは、野菜が成長する過程で間引きした野菜の総称です。

ただ今、大根のすぐり菜が豊作です。根の部分も大根らしくなりつつあります。

一気にすぐると調理が追いつかないので、少しずつすぐって食べ、処理し終わったら次をすぐってきます。

我が家のすぐり菜は安心して食べることができます。何故なら農薬や除草剤を一切撒いていないことを誰よりも僕自身が知っているからです。少々虫喰いの跡があるのが、何よりの証拠です。

すぐり菜は、野菜を育てている人だけが食べることのできる野菜です。何故なら、すぐり菜はスーパーには売っていない野菜だからです。

すぐり菜は、野菜を育てている人に与えられるポイント還元です。