One’s Way[ワンズウェイ]のブログでは、里山暮らしのあれこれを綴ります。ヘンリー・ デイヴィッド・ソロー の影響を受け、エシカルな暮らしを追求中。薪ストーブを暮らしの核とし、菜園、ガーデニング、サイクリング、ランニングなどを楽しんでします。

■ お金は直ぐに消えて無くなるのか by T2021/06/01

KAKIの椅子
「お金と手はとても仲良し。直ぐに使って消えて無くなる」
小さい頃から両親によく言われた言葉です。

しかしながら、30年前、私たちが結婚した時、親戚や友人からのお祝いの品は、こちらからお願いしてほとんど現金にしてもらいました。その現金は今どうなったでしょう。

その現金で私たちは木製オーダー家具を購入しました。その家具は全てKAKIキャビネットメーカー(富山市粟巣野)にて制作してもらいました。

結婚という新しい生活を始めるにあたり、例えばお祝いとして電気製品をもらっていたとしたら、今ごろ消えて無くなっていることでしょう。せっかくのお祝いの品ですから、一生身近に存在するものであって欲しい。何が良いか?私たちは木製オーダー家具にしました。

おかげで現在も、私たち夫婦は2つの大きな財産を所有しています。一つは年を経て赤みを増し味わい深くなったベニマツ材の木製オーダー家具たち。現在シベリア産のベニマツは輸入困難で手に入りにくい、だから貴重な家具です。もう一つは、KAKIとの親交。人との繋がりの中で頂いたお金でもって、新たな人との繋がりを生み出してくれました。

写真は僕の実祖母に頂いたお金で購入したKAKIの椅子です。実祖母は亡くなって20年以上経ちましたが、椅子は健在です。椅子を目にする時、実祖母を思い出します。だから実祖母の記憶も健在です。

お金と手はとても仲良し。直ぐに消えて無くなる前に、直ぐにお金を何かに投資しておくべき、だと考えます。

■逞しく考える by T2021/06/02

カントリーロード
先日頂いたチッパー機の元所有者は84歳。今も現役で広い竹藪を管理している高齢者だ。

若かりし頃の話を伺った。
「わしらが中学生だった頃は、朝露に濡れた泥道を、長い道のりをかけて通学した。直ぐに靴がダメになる。だから靴を持って裸足で歩き、学校近くの小川で足を洗って靴を履いて、そんでもって教室に入った。」

こんな話も伺った。
「隣町は大きな工場があって税収が大きく裕福だった。だからいち早く小学校にスクールバスが走った。中学になって、その隣町の生徒と一緒の中学校になった。集会の時に貧血で倒れる生徒が続出した。皆隣町の生徒だった。これはイカンということで、隣町のスクールバスが廃止になった。今の時代だったら集会の方を廃止するかもしれん。」

考えるのは教室だけでするものではない。教室や試験会場にたどり着くまでのカントリーロードも重要な考えるフィールド。
入学試験制度が変革され、考える力を問うことがいつも話題となる。考える力を問い測定することよりも、考える力はどんな環境や条件下で養われるのかを問い、日常を振り返る方が有意味なのではないか。

世の中は便利になった。何も考えないでただ便利さを享受するのみならば、逞しく考える貴重なチャンスを失い、格差が広がることであろう。

■電気柵はノマド by T2021/06/03

電気柵
北陸地方は梅雨入り前ですが、今年5月後半は雨の日が続きました。大豆の植え付けが遅れ気味なので、農家の方々は先にイノシシの電気柵設置作業をされました。

我が家の新しい菜園は、そんな電気柵に囲まれた田圃の中にあるため、一緒に守ってもらっています。有難いことです。

電気柵は、冬の降雪前に撤去されます。雪の重みで電線が切れるからです。設置したり撤去したり、一見無駄な作業に見えます。正直、僕も無駄だなあと例年思っていました。

ところが、今年1月の豪雪によって、その思いが変わりました。豪雪によってイノシシ除けの恒久柵(金属製フェンス)が結構ダメージを受けていたからです。電線が切れても結び直せば良いですが、フェンスが曲がったり折れたりすると厄介です。復旧に時間と労力と多額の資金が必要です。

それに対して、電気柵のスマートなこと!まるでノマドっぽい、執着しない、ヤバくなったら移動、簡素身軽で撤収が素早い、跡形も無く消える。

というわけで、今年の電気柵は、ちょっと違って見えました。

■働き方の多様性 by T2021/06/04

足長バチ
突然ですが、ドローン(drone)の意味をご存知ですか?あのブーンと空飛ぶドローンの意味です。里山でも最近森林調査等のためか時々飛んでいます。

ドローンとは「雄のミツバチ」のことです。転じてドローンとは「怠け者やごくつぶし、居候」の意味がある英単語です。

雄のミツバチは一切働きません。蜜を集めに訪花したり卵の世話をしたり一切しません。毎日雌の働きバチに蜜を口移しで貰い、女王バチとの交尾に待機します。運良く交尾できた雄バチはそこで死にます。交尾できなかった雄バチは巣の中で蜜を盗み食いしながら過ごし、交尾季節の夏が過ぎると、巣から追い出されます。自分で蜜を集めることのできない雄バチは、その後弱っていき死にます。

進化の過程で、ミツバチは以上のような社会を綿々と築いてきました。それが種の保存にとって有利だったということでしょう。

働き者のイメージ強いアリたちの社会においても、約7割のアリは巣の中で働かずに過ごしています。働きアリの中でも若い働きアリは巣の中の軽作業に従事し、高齢の働きアリは屋外の危険な重労働に従事します。これに関しても、種の保存という面から合理的理由があるのでしょう。

だから、人間も無理して働くことはないとか、高齢者も働かせろと結論するのは浅はかでしょう。人間はミツバチやアリよりも高度な脳を発達させ、記憶、経験、歴史といった情報に価値を見出し、現在の社会的モラルや習慣を構築して種を保存してきました。人間高齢者が尊重されるのも経験豊かの傾向を持つからでしょう(あくまでも傾向ですが)。

ただし、働き方や働く意味の多様性は広がりつつあります。種や社会の保存にはどのような働き方が、今よりも更に有利に働くか、それは今後の進化の審判に委ねましょう。今自分にできることは、自分の人生を、自分に誠実に、生き抜くことだと思っています。

■新しい菜園道具のジレンマ by T2021/06/05

菜園用グローブ
新しく購入した菜園用グローブは、1日使っただけで泥だらけになります。まあ、当然のことですけど。

2日目からは抵抗なく新調グローブを使うことができるのですが、どうしても最初に使う瞬間には抵抗感があって、せっかく買ったのにしばらくは古いグローブを使っていたりします。この気持ち分かって頂けるでしょうか?

長靴も然り。グローブ同様長靴も消耗品で、最近は森林作業用ブーツと菜園用長靴を分けていますが、それでも1年に一足は新調します。古い長靴も捨て切れず、穴の空いた箇所がくるぶしよりも上部ならば、上を切り取ってショートブーツとして使ったりします。

妻も、古くなった衣類を再利用してマスクや小物に作り替えています。そして最終的に古くなったボロ切れを切断し、油汚れの鍋や食器を拭いてから水で洗うようにしています。僕は草刈機やチェンソー、自転車などの拭きメンテナンスに使わせてもらっています。

新しいものを使う時にも抵抗感がありますが、古いものを捨てる時にも抵抗感があります。この気持ち、分かって頂けるでしょうか?

■家のコレステロールは環境のバロメーター by T2021/06/06

静かな水面
先日のブログで、油汚れの鍋や食器は、ボロ切れで汚れを拭い取ってから水洗いしているという記事を書きました。

それは家の下水配管の汚れを抑えます。家の下水配管内がキレイであることは、公共下水管内や下水処理場、そして川や海といった環境負荷のバロメーター。

それでもです!配管内には少しずつ油等の汚れがラード状に付着していきます。まるで血管内に付着した悪玉コレステロールのように。

この時期何度かブログに書きましたが、我が家では年に一度6月に、家庭内の下水配管内洗浄を行っており、今年は一昨日に行いました。

全ての下水配管を洗浄するわけではありません。最も付着しやすい箇所はキッチンからの下水配管なので、このライン約4メートル配管にホースを入れて洗浄します。ホース挿入はまるで内視鏡検査のようです。

キレイになった事を目視した後、トイレ、バスルーム、洗面所から水を流し、公共下水管に接続する箇所近くの配管枡のフタを開けてみて、水がスムーズに流れていればOK.というわけです。

家庭内下水配管洗浄を、皆さんにもオススメしたいところですが、一般的に床下に潜って行うことは困難だと思います。せめて屋外の配管枡を時々開けてみて目視点検することが現実的でしょう。

■持続可能な宿根草 by T2021/06/07

自家製味噌
今年の冬に妻が仕込んだ味噌を先日から使い始めました。上出来です。大豆はみどり共同購入会に配達してもらったオオツル大豆(富山県産)、塩はもちろん自家製「さとやまの塩」。

味噌も塩も薪も、自産自消を毎年続けています。アレもしたいコレもしたいと里山生活における好奇心は広がりますが、一方で時間と労力は限りある貴重なものなので、どこかで取捨選択と集中化が必要だと考えます。

取捨選択の基準は、我が家の場合、①持続可能であること、そして②持続させる意味があること、その2点です。その2点を意識することによって、高いプライオリティ(優先順位)を持つ選択になると考えるからです。

ところで、草花には一年草と宿根草があります。派手な花火のように種を飛ばし一年でお終いなのが一年草、一方、地上部は枯れますが地下では地道に根や球根が生きていて来年も芽を出すのが宿根草。

味噌も塩も薪も、宿根草のように地道に長く続けていこうと思っています。

■結構好きな風景 by T2021/06/08

足踏みミシン
昨日、薪ストーブ本体清掃をしました。

ところで、薪ストーブ背板の後ろは、かつてデッドスペースでしたが、数年前から足踏みミシンの定位置になりました。コレがまたピッタリで、薪ストーブのレトロ感と相まって、結構好きな家中風景になりました。

アンティーク・ミシンは、妻の実祖母が使っておられた形見。また机型ミシンのため、薪ストーブと同様使わない時移動させることが困難です。でもかえってそれが、いつでも開いてミシンがけできるというわけで、ミシン使用頻度が増えたようです。

僕が薪ストーブ清掃を行っている時、妻は古い浴衣の布でマスクを作っていました。

■灰の寝床 by T2021/06/09

清掃後の炉内
薪ストーブの休眠期間に、炉内に灰を入れたままにしておくべきか、それとも灰を取り除いておくべきか、悩むところです。何故ならば、次のシーズンが始まり火を入れる時は、炉内に灰の有る方が炉内保護になるからです。それをアッシュ・ベッド(灰の寝床)と言います。アッシュ・ベッドは急激な加熱を和らげてくれます。

しかし、夏場に灰が入ったままだと、灰が湿気を含み炉内を錆びさせるリスクがあります。また、灰を取り除いて炉内にヒビや破損が無いか目視することも大切です。

そこで僕はこうしています。
シーズン終了の薪ストーブ本体清掃時に一旦灰を取り除きます。灰は灰入れ缶にストックしておきます。次のシーズンが始まる直前に、その灰を炉内に戻します。つまり灰のベッドメーキングをするわけです。

手間はかかりますが、行う価値はあります。無精な万年床はいけません。

■何歳になったら里山活動に全力を注げるのか by T2021/06/10

芽吹の里山
かつては60歳の定年退職と同時に公的年金を受給できました。よってリタイヤ後、年金という不労所得をベースとして、地域活動や趣味の活動に全力を注ぐことができたかも知れません。

しかし現在、65歳からの公的年金受給につれて、60歳で完全不労所得生活にシフトする人は少数派でしょう。

当然、収入を得るための就労時間が必要となり、その分地域活動や趣味の活動に100%全力投入することが不可能となります。

更に、年金減額、増税、各種保険料金増等によって、公的年金だけでは生活が困難という見通しもあり、70・80・90・100歳になっても生きていくために一生働き続けねばならないという人もいます。

そうなると、何歳になったら里山活動に全力を注げるのでしょうか?特に若い世代の皆さんの場合、将来の不安はとても顕著なことでしょう。生きていくのに必死な時、地域活動や里山保全など悠長なことを考えている余裕なんて有ると思いますか?

もしも、若い世代に里山の未来を託したいと本気で思うならば、無責任な国債・地方債の増大や、次世代分のエネルギー資源の乱費などを見直し、後世に負の遺産を残さないよう努めることが重要ではないでしょうか。