■ 2種類の人間 by T ― 2018/09/13
世の中には2種類の人間が存在する。それはひとり旅をしたことのある人間と、ひとり旅をしたことのない人間である。
僕の通っていた学校では、ひとり旅を奨励するような教育指導は一切なされなかったが、僕の聞いた話では、とある超進学校の夏休みの宿題に、ひとり旅をしてその途中で本を一冊読み、読書感想文を書くという課題が出されたという話である。ずいぶん昔のことだから現在も続いているかどうか定かではない。
旅自体好き嫌いがあるわけで、この2種類のタイプに優劣をつけようとは思わないが、一方でいかなる経験も無いよりは有る方が良いのではないかとも思う。
ひとり旅と言ったって自分以外の人間が皆無の極北や太平洋のど真ん中を孤独に旅するわけではなく、多くの人間が行き交う社会の中で、でも顔見知りの人間がほとんどいない場所を旅することがほとんどである。要は会話の相手の大半が自分自身であるということである。(SNSはオフにして)
そして現代、自分自身とじっくり向き合うことのできる時間と空間は極めて希少・
貴重になってきていると僕は思う。ちょっと時間があればTVのスイッチオン、スマートフォン、、まるで自分との会話をさせない強制力が働いているような現代社会である。しかし自分との会話は思考の論理性を養う核である。そして刺激に対し感覚的に反応してしまう衝動行動にブレーキをかけ、筋道立てて熟慮し行動する力を養ってくれる。
兎にも角にも、人間最後は誰もがひとり旅。皆が1種類の人間になってしまう。でも死んでから熟慮しても始まらない。やっぱり熟慮は生きているうちにしておきたい。