One’s Way[ワンズウェイ]のブログでは、里山暮らしのあれこれを綴ります。ヘンリー・ デイヴィッド・ソロー の影響を受け、エシカルな暮らしを追求中。薪ストーブを暮らしの核とし、菜園、ガーデニング、サイクリング、ランニングなどを楽しんでします。

■ 絶対!という強迫 by T2021/01/26

雪景色
1月25日は、日本における最低気温が記録された日です(1902年)。

この日に日本山岳史上、最悪の遭難事件が起こりました。新田次郎氏の小説『八甲田山死の彷徨』にも描かれた、日本陸軍冬季軍事訓練199名死亡遭難事故です。

当時の日本は対ロシア戦に向けて寒冷地での戦闘を想定した準備を行っていました。その流れの中で行われた至上命令としての雪中行軍。この絶対命令の危険さに対し、先日アルピニストの野口健さんは示唆のある発言をされていました。

元日本サッカー協会会長で東京オリンピック・パラリンピック選手村村長に就任した川淵三郎氏が「コロナに打ち勝つため、日本におけるコロナ対策を広めることが五輪の意味、絶対に開催すべき」と発言したことに対しての野口氏のコメントです。

「この『絶対』という考え方は危ういのではないか。いかなる状況下においても決行せよという発想になりかねない。我々は八甲田山から学んだはず。状況によっては撤退することも視野に入れながら最大限の対策を進めるべき。」

撤退すること、逃げること、諦めること、それは決して臆病なことではありません。その反対に、私たち人類は、勇気を持って逃げ、避け、諦めながら、賢く生存してきました。そういう僕も里山の中で、のらりくらりとテキトーに今まで生存し続けることができました。

善意ある皆さん。「絶対」という強迫に、皆さんの大切な善意を搾取されないよう、お互い細心の注意を払おうではありませんか。