One’s Way[ワンズウェイ]のブログでは、里山暮らしのあれこれを綴ります。ヘンリー・ デイヴィッド・ソロー の影響を受け、エシカルな暮らしを追求中。薪ストーブを暮らしの核とし、菜園、ガーデニング、サイクリング、ランニングなどを楽しんでします。

■ AIに仕事を奪われる人 by T2020/01/16

日の出
中村伊知哉氏の著した『超ヒマ社会をつくる』(2019)をしっかり読んでみたいと思う。

氏は述べている。18世期のイギリスで興った産業革命の時、蒸気機関といった新たな動力源の出現により、仕事を奪われる職人たちの間で社会不安が生じた。でもその後人々は紆余曲折ののち、なんやかんやと言いながら暮らしの中で機械生産による便利さの恩恵を受け入れてきた。

また21世期のIT革命時も、インターネット不要論やスマホ弊害論が展開されたが、やっぱり便利さに慣れ親しみ、人々は便利さという恩恵を受け入れつつある。

このように、便利さの恩恵によって従来の仕事における肉体的・精神的苦痛から人々は解放され、空いた時間を新たな仕事の創造によって埋めてきた。現在の第三次サービス産業隆盛時代はその証拠であろう。

だから氏は述べる。今後AI革命により、従来人間の行なっていた仕事がAIに奪われていったとしても、人間はその空いたヒマな時間を埋めるべく新たな仕事を創造していくであろうと。

だが僕は考える。蒸気機関、機械、石油動力源、IT、そしてAIと、歴史の中で人間は便利さの恩恵を受容してきてはいるが、一方で必ずその代償を支払ってきている。つまり世の中、便利なサービスというものは決してタダでは無いということだ。そして便利さの恩恵をより受容するということは代償(お金等の支払い)がより増えるということだ。

つまり、ヒマな時間を埋めるべく新たな仕事を創造していくという人間がいる一方で、便利さを享受したいがために、新たな代償を賄うべくヒマな時間をより忙しく働き稼がざるを得ない、そんな状況に追い込まれていく人間も生み出される、と僕は考える。

氏は述べる。
「私たちは長い間、仕事とは報酬を得るための苦行と自分自身に言い聞かせてきました。でもAIが仕事を代替してくれるなら、これまでの苦行から解放されるわけです。それならば、やりたいことを見つけて、それを仕事にすれば良い。娯楽やスポーツ、芸術活動や創作活動、勉強や学習でもよい。今後はもしかしたら周囲から見れば遊んでいるような働き方が生まれてくるかもしれません。」

そんな仕事を見つけられれば幸いのこと。しかしもし見つけられないならば、

AIに仕事を奪われる人とは、AIの恩恵を受けるための代償を稼ぐために、日々あくせく忙しく働かされ、報酬を得る代わりに苦痛の拘束を余儀なくされる人なのかも知れない。AIに仕事を奪われヒマになるのでなく、AIによって空いた人間的健康的文化的自由な時間を奪われる人なのかも知れない。