One’s Way[ワンズウェイ]のブログでは、里山暮らしのあれこれを綴ります。ヘンリー・ デイヴィッド・ソロー の影響を受け、エシカルな暮らしを追求中。薪ストーブを暮らしの核とし、菜園、ガーデニング、サイクリング、ランニングなどを楽しんでします。

■ 木六駄(きろくだ) by T2018/02/05

しんしんと降る
僕が初めて本物の狂言を観たのは、今から20年以上も前、狂言師の野村万作氏による『木六駄』だった。

この演目は、主人に命じられ太郎冠者が、丹波の奥から都に住む叔父のもとへ歳暮の木六駄(牛6頭に積んだ薪)と炭六駄、そして進物の酒樽を運ぶストーリー。雪降る峠道を牛を進ませながら歩く姿を、たった鞭一本で表現する演技に感動したことを覚えている。峠に着き茶屋で酒を所望するが、あいにく酒を切らしており進物の酒に口をつけたが最後、茶店の主人にも酒を振舞って酒盛りとなり、酒樽全てを飲み干してしまう。さらに気前よく木六駄も茶店の主人に与えてしまうのである。そして炭六駄のみで都にたどり着いた太郎冠者が叔父に言い訳をする結末となる。

朝食を食べている時、窓の外をしんしんと降る雪を見ながら、ふと木六駄を思い出した。視界がほとんど効かない雪景色。厳しい環境。厳しい状況であればあるほど、人間にはユーモアと暖かさが必要なのである。そして何よりも、許しが必要なのである。自然は人間にとって時には厳しいが、とことん究極まで追い詰めることは無い。どこかに立ち直りの道を残してくれるというのが僕の信念である。

昨日の新聞に、熱中症による死者よりも凍死者の数の方が約1,5倍多いという記事があった。これは我が日本に於いての記事である。人間には暖かさがどうしても必要なのである。厳しい自然よりもさらに厳しくなりつつある要素がこの国にはあるようである。

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