One’s Way[ワンズウェイ]のブログでは、里山暮らしのあれこれを綴ります。ヘンリー・ デイヴィッド・ソロー の影響を受け、エシカルな暮らしを追求中。薪ストーブを暮らしの核とし、菜園、ガーデニング、サイクリング、ランニングなどを楽しんでします。

■ 里山の塩 by T2020/08/05

里山の塩づくり
我が家で製造している富山湾海洋深層水天然塩の名前は「里山の塩」です。
塩作りを開始したのは2005年。その時「里山の塩」と命名しました。だから里山という言葉に注目したのは「金山里山の会」発足よりも我が家の「里山の塩」の方が約5年早いというわけです。

里山という言葉が世に広ったのは、ウィキペディアによれば、今森光彦氏の写真集『里山物語』(1995)の影響が大きいとのこと。確かに僕も影響されました。

「里山の塩」という名前は、シンプル過ぎてありきたりの感がありますが、ふと考えてみれば不可解な名前です。その不可解さがとても気に入って命名しました。何が不可解か、あなたはもう既にお気付きですが?

その通り、塩が里山で採れるはずがないということです。塩の原料は富山湾水深300メートルの海洋深層水で、里山とは直接関係ありません。
しかしながら塩を煮詰める燃料が里山の折れ枝、枯れ枝、剪定枝などなど、
ということで「里山の塩」なわけです。

一般的な食塩はイオン交換膜方式によって海水から塩を製造していますが、この方式には一つ弱点があります。それは海水から塩化ナトリウムしか取り出せない点です。

海水には結晶化の早い順に硫酸カルシウム、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウムなど多数の成分が含まれており、それら全体を塩(えん)と呼びます。塩分とはそれら成分の総体です。

ところがイオン交換膜方式は、その中の塩化ナトリウムのみを取り出す方法なので、それ以外の塩は取り出せません。

我が家の「里山の塩」は、塩全てを最後まで結晶化させます。カルシウム分はエグ味、ナトリウム分は塩辛味、カリウム分は酸味、マグネシウム分は苦味(ニガリとはこれ)の成分なので、流通しているブランドものの天然塩は結晶化のタイムラグを利用して成分の取捨選択をしていますが、我が家の「里山の塩」は何にも取り除きません。理由は取り除くのが面倒で、取り除いたモノの処理に困るからです。

「里山の塩」を誰かに差し上げて、エグ味と酸味と苦味で苦情を言われたことは今のところありませんが、一つだけ言われたことがあります。それは塩辛さが薄いということです。確かにそうです。イオン交換膜方式の塩は塩化ナトリウム99%以上で、里山の塩は78%です。しかし薄いかわりにそれ以外のエグ味、酸味、苦味が際立ったわけでない程の薄さだったということで逆に安心しました。それよりもカルシウム、カリウム、マグネシウムなどの健康に不可欠ミネラルが十分に含まれていることの方が重要です。

「暑さ対策として塩分を取りましょう」と言われますが、塩分とは先述の通り複数成分の総体です。
「里山の塩」は、塩化ナトリウム過多による高血圧障害を予防します。
「里山の塩」は、塩分不足を補い暑さ対策になります。

なお「里山の塩」は販売しておりません。ただし、物々交換は可能です。最近某大工さんとの間で、里山の塩1kgとバックホー重機の無料利用との交換商談が成立しました。