One’s Way[ワンズウェイ]のブログでは、里山暮らしのあれこれを綴ります。ヘンリー・ デイヴィッド・ソロー の影響を受け、エシカルな暮らしを追求中。薪ストーブを暮らしの核とし、菜園、ガーデニング、サイクリング、ランニングなどを楽しんでします。

■ エス!エス! バイク(その1:変速機封印)2017/01/21

S.S.バイク製作中
2014年7月に『月刊ニューサイクリング』誌に投稿した原稿です。その後、廃刊となり掲載されないままとなっていた内容をこのブログに掲載します。

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★ 変速機封印

2014年5月17日、僕の新しいバイクができた。フロント・キャリアは製作注文中であるが、フェンダー(※1)付き700Cホイールのバイクで、カテゴリーで言えばシクロ・スポルティフとなるであろう。フレームは、富山サイクリングセンター上野茂氏製作のクロモリ・スチールフレームである。

僕が富山サイクリングセンターに出入りするようになって、今年でちょうど30年になる。その間、僕はこの店のブランド「ROMAN」スチール・バイクのみに乗り続けてきた。ROMANフレームで通算10本目、それが今回のバイクだ。30年で10本。節目となる数字だ。10本のフレーム全てが手元にあるわけではない。何かを手に入れるということは、何かを手放すということ。あるのは今回新調したフレームを含めて3本のみ。

1本はピストバイク・フレーム(1992年製作)で、現在フレームのみで保管されている。とは言っても、つい先日まで乗っていたピストバイク・フレームである。大半の部品を今回新調したスポルティフ・フレームに移植した。スポルティフにピストのパーツ?・・そうなのだ。僕のスポルティフは変速機能を持たないシングル・スピードのスポルティフ。   

ここ数年、僕はピスト競技には参加しておらず、ピストバイクは固定ギアでのサイクリングを楽しむための云わばシングル・フィクスド・バイクとして使っていた。競技会へ向けてのトレーニングというよりは、トレーニングそのものが目的のスポーツ・エクササイズ・バイクとして長距離ライドにも使っていた。そんな固定ギア・サイクリングを継続する中で、ふとこれにフェンダーが欲しいと思った。それも樹脂製のワンタッチ・フェンダーではなく、しっかりとした金属製のフェンダーが欲しい。かつ最小限の荷物を積むことのできるフロント・キャリアも装備したいと思った。そんな心境の変化もあって、まだ使用に耐えうるピストフレームであったがリタイヤしてもらい、今回のシクロ・スポルティフ・フレームを新調した。

2本目はロードバイク・フレーム(2008年製作)であるが、今回のシングル・シクロ・スポルティフ製作を機会に、僕は変速機付きロードバイクの使用を止めることにした。きっかけとなった理由は後述するが、僕は毎春交換していたロードバイクのワイヤー類やタイヤ、チェンなど、消耗品交換を今年は行なわなかった。僕は変速機使用を封印し、よって僕のロードバイクはディスプレイとなった。生まれて初めて僕は乗らない自転車というものを古道具のごとく所有することになった。それは、乗らないロードバイクという具象物を保存するというよりも、僕のロード経歴といった時代を保存するということでもある。

というわけで、今後僕が乗るバイクは、シングル・スピードのスポルティフ1台のみ。これ1台でロング・ライドから通勤、買い物まで、つまり、僕は唯一のS.S.バイク(Single Speed Bike)で、新たなサイクリングライフを走って行こうと思っている。

僕も人間だから将来、良きにしろ悪しきにしろ思考や趣向性に変化がみられるやも知れぬ。否、変化しないほうがおかしい。とはいえ現時点においてこのS.S.バイクは、限りなく現在及び近未来の僕にとってしっくりきているバイクだと考える。(注2)

注1 通常「泥除け」とか「マッドガード」と呼ばれることが多いが、泥のみを防ぐわけではないので、バイクと乗り手を守るディフェンダーつまり「フェンダー」という言葉を僕は使う。

注2 フェンダー付きフィクスド・バイクは、当然であるが僕の発案ではなく、すでに先達がその有用性を述べている。
例えば『月刊ニューサイクリング』250号増刊号(1985年5月発売)には2台見られる。1台は今井千束氏のトーエイ・ドゥミクールスで、キャリア付き。もう1台は、鈴木利行氏のSWピニオンフィクセ(渡辺捷治製作所)でキャリア無し。共にロードエンドで、ポタリング用とのこと。ただし両者ともおそらく複数の自転車を所有されている中の1台であろう。この増刊号の後書きにも、今井彬彦氏が「一人で車種別に自転車を持つことの楽しみ」を述べている。


【写真説明】富山サイクリングセンターのフレーム工房にて。フレームビルダー上野茂氏と共に。

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