One’s Way[ワンズウェイ]のブログでは、里山暮らしのあれこれを綴ります。ヘンリー・ デイヴィッド・ソロー の影響を受け、エシカルな暮らしを追求中。薪ストーブを暮らしの核とし、菜園、ガーデニング、サイクリング、ランニングなどを楽しんでします。

■ いのちの林檎 by T2020/11/01

いのちの林檎
昨日、妻が世話をしている地域コミュニティの映画鑑賞会がありました。上映されたのはドキュメンタリー『いのちの林檎』

絶対不可能とされた無農薬・無肥料での林檎栽培を成功させた木村秋則氏の実践をベースに、徐々に現代人を脅かしている化学物質過敏症について考えさせられる内容でした。

農薬、食品添加物、タバコ、排気ガス、消臭芳香剤、電磁波、シックハウス物質などなど、巷に溢れている化学物質に敏感に反応するならば、その大変さは想像を絶するものがあります。しかしながら、何が幸福で何が不幸かはそう単純な問題ではありません。

もしも自分が化学物質に敏感に反応することなく、日常生活をスムーズに送れるとしたならば、果たしてそれは幸せなことでしょうか?

そもそも化学物質過敏症とは、悪い化学物質に対する人体の注意喚起・防衛反応です。

例えば、アルコールについて考えてみましょう。生まれながらにしてアルコール分解酵素を持っておらず、体質上お酒が全く飲めないという人は、日本人の中にはある程度存在します。これも広義の化学物質過敏症と言えましょう。しかしお酒を飲むことのできない下戸の人は、絶対にアル中やアルコールにまつわる病気にはなり得ませんし、アルコールによる社会的トラブルも起こし得ません。アルコール過敏症が自分を守ってくれているということです。

つまり、化学物質に殆ど反応しないと喜んでいる自分は、化学物質が素通りして体内に入ってしまい、癌などのより重篤な病気を引き起こす可能性があるということだとも考えられます。

ともあれ、化学物質過敏症を発症する未然に、可能な範囲で化学物質というハイリスクを避けるように努めるつもりです。

■ 木質チップ by T2020/11/02

木質チップ
樹木の幹を薪や椎茸のホダ木にすると、枝は残され山に放置されます。放置された枝はゆっくり分解され土に戻って行きますが、それには時間を要します。

足の踏み場もなく積み重ねられた枝葉をチッパー機によって粉砕すれば、枝葉の体積も減らすことができ森の中も片付きます。そして枝葉の分解速度も加速させることができます。

昨日、薪仲間と森に入り薪原木の搬出と枝葉のチップ化作業をしました。チッパー機は、一般社団法人「金山里山の会」を通じて「とやまの森作りサポートセンター」より無料でお借りしました。

この日の僕個人の目的は薪原木よりも木質チップの方。出来上がった木質チップを頂き、菜園に運び入れました。木質チップを牛フン堆肥や落葉などと一緒に菜園の土に混ぜ込み、良質の土を作るというわけです。

剪定枝を有料で焼却施設へ搬入している方もおられることでしょう。そんな剪定枝を木質チップ化して菜園の土壌改良に使ったり庭に撒いて雑草抑制に使ったりすれば、有料の廃棄物じゃなく無料の資源になりますよ。

里山の森がキレイになって、その結果、暖房用の薪が手に入り、菜園の土が良質になる。これこそ里山の経済性だと考えます。何でも山の生産物を売ってお金にするだけが経済性ではありません。

■ 見えないもの by T2020/11/03

見えない煙
写真は我が家の薪ストーブ煙突です。煙が見えませんが、当時点で薪ストーブ本体はしっかり200度以上で燃焼中です。8月に煙突を交換してもらい二重煙突部分が伸びたため、燃焼排気が冷やされずに直接外へ放出されるようになりました。よって煙の完全燃焼率が向上し殆ど煤が出なくなったというわけです。写真では写しきれませんでしたが煙突トップから陽炎のみが上がり白い煤煙は目視できないレベルです。

煤煙が出ないということは、効率的に薪が燃焼していることであり、且つ外気を汚さないことでもあります。

空気のキレイさは見えないもので、よって気付きにくいことでもありますが、世の中で本当に大切なものは見えないもの、目立たないものなのかも知れません。

冬になり、エアコンや石油ファンヒーターなどで暖房すると、室内を密閉して換気が悪くなります。空気のよどみ、ウイルス問題、結露、壁裏のカビ問題などなど、密閉状態は決して良いことではありません。

その点、薪ストーブは、コロナウイルスを予測想定していたかのように順応しています。煙突排気暖房ということは当然外気を室内に取り入れ続けます。何故なら外気を取り入れないと排気していかないからです。外気を取り入れるのに何故室内が暖かいのか?それは遠赤外線・輻射熱暖房だからです。暖かい空気を密閉し溜め込むことによって身体を暖めるのではなく、直接身体を構成している物質分子を振動させて熱を発生させる遠赤外線・輻射熱暖房だからです。

真の(芯の)暖かさも、目に見えない大切なことのひとつです。

■ 橋掛かりの効果 by T2020/11/04


橋掛かり
能や狂言の舞台には、本舞台と鏡の間をつなぐ橋の通路があります。我が家の玄関アプローチは気取って橋掛かりにしました。空中を浮遊しながら歩くのは、特に小さな子ども達には好評ですが、大人であっても本当に楽しいものです。


ヤマボウシの紅葉
地上から見上げるヤマボウシの木も、橋掛かりに立つと始まったばかりの紅葉を上から見下ろすことができます。

空中の玄関アプローチは楽しいだけではありません。落ち葉の掃き掃除がとてもカンタン。箒で下の地面に掃き落とせば終了です。雨で落ち葉がひっついて掃けない時は、ブロアの風で吹き飛ばせばOK。

雪が積もった朝も、スコップで雪をかき落せば良いので、腕力を必要としません。思わぬところに橋掛かりの効果が見られました。


ケヤキの紅葉
同じく橋の横に立つケヤキの木。上の方から紅葉が始まっています。さすがにケヤキは、空中の橋掛かりとはいえ見下ろすことは不可能ですが。



■ 身も心も懐も暖かく by T2020/11/05

秋の蝶(ツマグロヒョウモン)と石蕗

里山に自ら入り、里山を整美する過程で生じた伐木を薪燃料にすると、再生可能エネルギーを家庭で消費でき、良心的に気持ち良く生活できます。

そして自ら生産した薪で暖房すれば、家計における暖房費は限りなく抑制されます。

薪暖房は、暖房費のみを抑制するだけには留まりません。休日等の時間を薪作りに費やすということは、休日等を他の活動に費やす時間をも抑制します。

例えば、暖房された室内でテレビを見たり、ゲームをしたり、昼寝したり・・。例えば、クルマでお出かけしたり、買い物に行ったり・・。そんな活動時間とエネルギーが抑制されます。

薪生産は本来暖房が目的なのですが、同時に、暖房時間及び暖房エネルギー総量をも減らします。何せ、外で薪を作っている時間は同時に薪ストーブの側で暖まっていることができないからです。

というわけで、良心的に気持ち良く、複利的に、身も心も懐も暖かく豊かになるというわけです。このような理想的なシステムを構築した金山里山の会に、深く感謝しています。

薪は二度暖めてくれる。一度目は薪を割る時、二度目は薪を焚く時。 ヘンリー D ソロー

■ 室内で焚き火? by T2020/11/06

煙突排気

「皆さん、家の中で焚き火しますか?」
冗談で言っているわけではありません。真面目に質問しています。

家の中で焚き火など絶対にあり得ませんよね。

ところでドイツでは、室内で石油ストーブ(石油ファンヒーター)などの開放型燃料器具を使用すると訴訟問題になるほどで、欧米ではあり得ないことだそうです。(早稲田大学 田辺新一教授)

その理由は石油ファンヒーターが室内に燃焼排気し、室内における一酸化炭素、二酸化炭素、窒素酸化物濃度が高まるからです。それは正に室内で焚き火をしているのと同じというわけです。

隙間風の入るかつての日本住宅だったら何とかしのげたかも知れません。でも最近の住宅は高気密を謳っています。排気ガスが室内に溜まり続けます。

にもかかわらず、各部屋ごとに石油ファンヒーターで暖房しているケースが時々見られます。

更に悪いことに、石油ファンヒーターは空気を汚すだけでなく水蒸気を排出するので室内の結露がひどくなります。

日本の常識は世界の非常識。

暖炉や薪ストーブの方が一見して室内での焚き火のように見えます。しかし暖炉や薪ストーブは煙突から排気しているので、一酸化炭素や水蒸気は外に排出され室内に残りません。だから安心安全なのです。

■ 待てる人間は強い by T2020/11/07

薪

アメリカ大統領選挙の開票結果が遅い遅いと煽られています。しかしながら今年の投票はコロナ対策として未だ郵便投票の受付が締め切られていない州もあり、結果が判明しないのは当然のことです。

そもそも民主主義とは時間のかかる社会システムです。よって民主主義社会に適応できる人間とは、待つことのできる人間ということでしょうか。

ところで、薪ストーブ生活を開始して20年を数えました。薪ストーブは僕自身に待つことの忍耐力を鍛えてくれたと思っています。

時間をかけて手斧で薪割り。でも割っただけではダメ。割った薪をキチンと積み上げ。でも積み上げて終了じゃない。そのまま1年以上乾燥させてようやく薪として燃やすことができます。でも1年分だけじゃ心細いので現在では3年分用意できました。今燃やしている薪は2017年に割った薪です。

このようなサイクルを構築するまで10年以上かかりました。そして今日からもコツコツ薪を作り続けます。

■ 教養・娯楽費 by T2020/11/08

イノシシ対策用フェンス
突然ですが、僕はタバコは吸わない。ゴルフもしない。ギャンブルもしない。かつて自転車競技をしていたが、競輪にお金を賭けたことは一度もない(賭けられたことはありますが)。ゲームは40年前のインベーダーゲームさえ未経験。本や雑誌も殆ど買わない。カラオケは21世紀になって一度も歌ったことがない。趣味の自転車の消耗品はタイヤ交換が2年に一回程度、ランニングシューズが2年に一足程度・・。

だからさぞかし教養・娯楽費は低額だろうと思いきや、なんと何と!家計簿によると結構な金額になっていた。どういうことだ?

イノシシ対策用の単管杭やフェンス、石垣用の採石、菜園用の堆肥や山砂、雪囲い用のわら縄などなどが僕の教養・娯楽費に計上されており、よって家計簿上で結構僕は娯楽人ということになっていた。それって住居費なんかに計上してもらえませんかねえ。

さあ11月。今年の冬は大雪か暖冬か、そんなことには関係なく雪囲いをしよう。何故なら僕の娯楽だから。

■ 落ち葉の季節 by T2020/11/09

落ち葉
我が家の庭では、落ち葉が積もりつつあります。ハラハラと舞い降りる落ち葉を窓から眺めるのは、気持ちの良い時間です。落ち葉が積もった地面も美しい光景です。

しかし街中では落ち葉が汚いといって近所の家から苦情が出て、街路樹を伐られたりする光景が時々見られます。本当に寂しい光景です。

同じ落ち葉でも、何故美しかったり汚らしく見えたりするのでしょうか?それは落ち葉に問題があるのではなく、落ちる地面の種類にあるようです。

一般的に落ち葉は土の上に落ちると美しく見えますが、アスファルトやコンクリートの上だと汚らしく見えるようです。落ち葉は分解され土に戻ります。土の上ならば土に同化していき土を肥えさせます。しかし人工物としてのコンクリートなどの上では同化できません。

落ち葉の季節は落ち葉を楽しむのが、自然でお得だと思います。

■ 時間の為せる技 by T2020/11/10

19年間使用の傘
突然ですが、あなたは傘を失くしがちですか?それとも長く使う方ですか?

突然話が変わって、我が家では愛車を19年4ヶ月乗っています。今年6月に車検を受け2度目のタイミングベルト交換をしました。今後20年以上は乗り続けるつもりです。

日本では車を長く乗り続けると税金がアップし、またエコカー減税等の恩恵を受けることができません。古いものを止め新しいものを購入することを推奨するような空気を感じます。でも僕は一つのものを長く使う方が環境にも優しいと考えています。

クルマ発祥地のドイツメーカーでは、10年、20年・・50年乗り続けているオーナーの表彰制度があります。さすが工業技術及び環境先進国のドイツ!

ところで先日、約20年近く使っているのは愛車だけではないことに気が付きました。それは傘。写真の傘は愛車を新車購入した時にディーラーからワインと一緒にプレゼントされた傘でした。

とかく忘れ物になり易い傘。僕もたまに何処かに置き忘れます。でも探しに戻ったりしながら何とか現在まで使い続けています。

雨の多い日本、必需品の傘を大切にする表彰制度導入はいかがですか?
多分あり得ないでしょうね。

とにかく、たった一本の貰い物の傘でブログの一話を書くことができるのも、時間の為せる技と言えましょう。