One’s Way[ワンズウェイ]のブログでは、里山暮らしのあれこれを綴ります。ヘンリー・ デイヴィッド・ソロー の影響を受け、エシカルな暮らしを追求中。薪ストーブを暮らしの核とし、菜園、ガーデニング、サイクリング、ランニングなどを楽しんでします。

■ 軒の効用 by T2018/07/07

南東側の軒
大雨が降っています。日本は雨の多い地域です。よって古来から日本人は、極力建物の軒を出して、外壁に雨がかかるのを防いできました。

私達が家を新築する際、わざわざ足を運んでまでも参考にした奈良斑鳩の法隆寺は、重い瓦屋根であるにもかかわらず軒を出していました。大陸の外来文化であった仏教が日本に伝来した飛鳥時代。先人たちは、外来文化をそのまま真似るのではなく、日本の風土に合致した新たな文化を築き上げてくれました。中国における仏教建築と日本の法隆寺建築を比較すれば一目瞭然です。そんな古代人から学び、我が家も極力軒を出すことにしました。本当に正解でした。

写真は我が家の南東側です。杉板下見張りの外壁から軒の先端まで水平距離で1メートル以上軒が出ています。そのおかげで大雨注意報発令の雨が降っていますが、外壁は濡れていません。

軒には雨樋を設置していないので雨だれが直下の側溝に落ちます。よって風が吹くとデッキの外側は少し濡れますが、重要なデッキ根元は濡れていません。また降雨の中でも一階の扉を開けておくことができます。

我が家の屋根は、重い瓦屋根ではなく軽妙なステンレス屋根なので、軒を出し易かったです。単純に簡素な軒支え材で強度を持たせました。

軒が出ることで真夏の上からの太陽光線が遮られますが、冬は斜めからの光線のため、軒に邪魔されず室内に暖かな光が差し込みます。北陸の冬は太陽の光がとても貴重です。

新築当初から数回行われてきた外壁のペンキ塗りは、夫婦2人で全て行ってきましたが、軒のおかげで外壁が保護されているので、次の再塗装までの期間を長くとることができています。将来、高齢になって自力塗装ができなくなっても20年くらいはそのままで構造的に大丈夫でしょう。退色は否めませんが、代わりに枯淡古風な色合いの外壁を楽しみたいと思っています。そのために周囲に人工素材を使わず自然な調和を保つことに今から心がけています。人工素材には侘び寂びが感じられないからです。

軒を出すことにも弱点があります。それは強風です。風対策として我が家では雑木を中心とした屋敷林を育てています。コナラ、カシ、ケヤキ、トチ、カツラ、コブシ、ヤマボウシ、シイ、タブ・・雑木の木陰も外壁保護になります。雑木林に野鳥たちも雨やどりしてくれます。生き物たちはみんな助け合って生きています。

雨降りの日には、ただ濡れるだけの人でなく、雨を感じる人になりたいです。ボブのように。