One’s Way[ワンズウェイ]のブログでは、里山暮らしのあれこれを綴ります。ヘンリー・ デイヴィッド・ソロー の影響を受け、エシカルな暮らしを追求中。薪ストーブを暮らしの核とし、菜園、ガーデニング、サイクリング、ランニングなどを楽しんでします。

■ One’s Way Part1(その2)2017/10/22

今は廃刊となっている『月刊ニューサイクリング』誌の2013年11月号に掲載された作品です。
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■ TATEYAMA  神の山

僕の住む富山県は、海にも山にも恵まれている。豊富なサイクリングコースがある中で、僕はどちらかというと海岸線の道よりは山道を選ぶことが多い。それは交通量の多い街中を通らなくてもよいことにもなる。太平洋側と異なり日本海側は南に山岳地帯を控えている。よって南下するのではなく、南上する。でも山を選ぶ理由は交通量の少なさだけではない。

中学1年生の夏、母親が暴風雨にもかかわらず、北アルプスの霊峰、立山連峰の雄山頂上まで僕を連れて行ってくれた。標高3003メートルの頂上から標高2450メートルの室堂まで下山できた時、僕は自動販売機で500円のカップラーメンを食べた。

このとき僕は思った。美味しさを万人に説明できる正確な客観的物差しは存在しないと。あるのは自分という物差しだと。その時食べたカップラーメンは、どんな高級レストランの料理よりも美味しいと思った。といっても、当時、僕は高級レストランで食事した経験は皆無だったけれど。

中学2年生の夏、今度は雄山頂上に一人で行った。叔父から譲り受けた中古の皮製登山靴とニッカーボッカーズをはいて。ザックには父親から譲り受けたYASHICAの重たい一眼レフカメラを入れて登った。このカメラは父親が二十歳の記念に購入したそうだ。大人になった証だ。

雲一つ無い快晴の一日だった。完全に山の虜になって帰ってきた。それは僕のOne’s Wayが、神の山、立山に繋がった記念すべき一日でもあった。



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